1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610126
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
佐々木 宏子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (20122921)
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Keywords | 絵本 / ごっこ遊び / 発達心理学 / メタ表象 / 幼児教育 / メタファー / エピソード記憶 / 空想あそび |
Research Abstract |
科学研究費を獲得してから3年間の集大成というべき著書『絵本の心理学ー子どもの心を理解するためにー』と、CD-ROM「子どもの心を理解するための絵本データベース」を、ともに新曜社より出版した。研究成果の概要は次のようなものである。 1 生涯発達心理学を実体あるものとして構築するためには、「発達」なるものの歴史的・文化的概念をどのようにして隣接する学問体系の中から生産的に移入できるかが重要であるが、絵本(児童文学)はとりわけ自己概念・感情・遊びなどの抽象性の高い「発達」の質をとらえる上で、有効な文化財であることが立証できた。 2 絵本の絵は目には見えないが確実に存在する子どもの心理、とりわけ幼児・児童の「ごっこ遊び」の内的世界の構図を「事実に根ざして」巧みにすくい上げ、描いている。筆者は、子どもが「現実世界」を素材に「想像世界」を巧みに構築してゆくときの心理機能を説明するために、「表象の反転現像」という新しい述語を創出した。ひとつの物理的環境は、子どもたちの表象により自在に「ごっこ環境」へと変容させられることがわかった。 3 学部1年の学生たちを対象に精選した「空想遊び絵本」を提示し、彼女(彼)らの幼年期のごっこ遊びを回想し語らせたところ、実に多種多様な構造をもつ「ごっこ」の世界が出現した。幼児・児童期において「メタ表象」「メタコミニュケーション」の自覚が、どのようになされていたのかも明瞭に語られており、学生自身の「発達を読む」行為の促進が検証された。 4 CD-ROMは、280の主題と基本的書誌目録が縦横にクロスできるものであり、OSはWindows95,98,2000対応、Access97をランタイムで同時にセットアップしたものである。
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