1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい学校建築における学習環境の効果に関する教育経営的研究
Project/Area Number |
09610235
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
森田 道雄 福島大学, 教育学部, 教授 (40109236)
|
Keywords | 教科教室型校舎 / 学習環境と生徒意識調査 / 学校での居場所 / 学校目標と学校経営 / 三春町の中学校改革 |
Research Abstract |
二年度目は調査実施を具体化する年であり、研究フィールドの設定の関係で、主題を主に中学校の「教科教室」型校舎の学習環境と学校経営との関連に絞って、この間生徒対象のアンケートを中心においた。このタイプの校舎を持つ学校は、全国でも40に満たないといわれ圧倒的少数であるが、これからの中学校のあり方を考えると多くの可能性をもっている。同時に、ナイフ事件が示すように中学生時期の心のあり方を巡る深刻な問題も一方で存在し、難しいが緊急焦眉の課題でもある。本研究はいわばリアルタイムで学校の現状と課題を意識しながら、なおかつテーマに掲げる普遍的な課題を意識するという特殊性を有し、方法論における試行錯誤も計画段階の予想をこえる困難さを実感した。 意識調査は第1次、第2次とおこない、それらの結果は公表もしくは公表準備中である。第一次は予備調査で生徒に学校で気に入った場所はどこかを聞いている。第二次は、設問の妥当性についても検討を加えて40弱の設問でおこない、3月現在単純集計のみの結果を分析中である。この意識調査の集計によって、教科教室という単なる建築上のスタイルだけでなく学校経営理念の変革を伴った、学校づくりの意義を七校、あるいは一〇校比較においておこない、経営理念を伴った学校事例の優位性が示された。すなわち、私が以前から注目してきた中学校3校では「自立」を学校目標に掲げ、生徒の自主性を喚起する学校づくりをおこなってきたが、そこでの生徒の学校に対する意識、友人との人間関係などの意識などに他校とは異なる傾向が見られたのである。最終年度では、クロス集計を加え、当該学校での生徒や教員とのインタビューを交えて、実証性をもたせた結論が導き出されればと考えている。 なお従来取りくんだ調査報告の合冊にした資料集(B5判、154頁)を作成したが、この研究費の補助を受けた調査結果の昨年度分の報告も併せて収録した。
|