Research Abstract |
帰国子女の海外での学校・社会生活,帰国後の生活状況について,教師,児童生徒,保護者の3者に対する面談により,北海道中央部,関東北部,関西,信越,中国,四国南部の地域の実情調査を実施した。また,日本の学校で学んでいる外国人子女が増加していることから,関東地区(東京,茨城,群馬)において,外国人子女が日本での日常生活や学校生活においてどのような適応状況にあるかについて実情調査を実施した。 教師は,帰国子女の受け入れについて,(1)適切な言語環境におく,(2)海外の学校では指導されなかった教科について,特別指導をしている,(3)入学後は学校に慣れるまで,個別指導を中心に関わっている,等について配慮していることが明らかになった。 外国人子女教育については,様々な生活環境・習慣の中で育ち,いろいろな言語を話す児童生徒がおり,英語や中国語のできる補助教員だけでは,指導に限界があること,また,学校行事が,宗教上の習慣により子どもが休み,不可能になった等の実情が出された。 帰国子女や外国人子女は,自文化と異文化の中で生活するといったギャップがある。教師は,多言語環境における日本語の位置付け,日常生活と宗教との関わりをいかに調和させるかに苦心しているかが明確になった。 保護者の面談からは,留学生身分や研究者待遇により家族で日本に住み,研究活動をしている人達の群と生活費を得るために日本に来ている人達の群では,日本文化の享受の仕方に質的レベルの違いをみることができた。 次年度は最終年度であり,これまで調査した海外帰国子女や外国人子女教育の事態を踏まえながら,研究協議会を通して,成果をまとめていきたい。短期間での調査研究ではあったが,まとめにつながる有益な資料を得ることができた。
|