1998 Fiscal Year Annual Research Report
「横断的・総合的な学習」の実施に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
09610249
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Research Institution | SHIZUOKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
角替 弘志 静岡大学, 教育学部, 教授 (40021878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐木 清志 静岡大学, 教育学部, 講師 (40273156)
村山 功 静岡大学, 教育学部, 助教授 (40210067)
熊野 善介 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90252155)
馬居 政幸 静岡大学, 教育学部, 教授 (30126768)
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Keywords | 総合的な学習 / 総合学習 |
Research Abstract |
本年度は、大きく次の二つの研究を行った。第一に、前年度収集した全教科・全社の教科書の中から、特に小学校・中学校の国語と理科に焦点を絞り、教科統合の可能性を探った。第二に、前年度実施したアンケート結果を踏まえて、静岡県内の総合的な学習先進校への参与観察および総合的な学習に関する出版物の分析を行い、総合的な学習を実践していく上で克服すべき課題を明確にした。 第一に関しては、国語教材の中に、理科的な内容を含む教材が数多く存在することが明らかとなった。一般には、理科と算数、社会と国語という結びつきを教師に限らず多くの人々が行なう。しかしながら、国語教材の内容分析を進めると、そこには、意外なほどに理科的な内容が多い。具体的には、約10〜15%の国語教材が理科的な内容であることがわかった。このようなデータから、国際理解教育・環境教育・福祉教育などを総合的な学習の中で実践する際には、国語の教材からスタートさせるのも一つの有効な方法であることがわかる。 第二に関しては、昨年度現場教師を対象に行った調査から得たデータの信憑性を、現場教師へのインタビュー調査を通して検証した。その結果、多くの教師は、総合的な学習の導入に際して、学習環境の整備の点で不安を抱いていることが明らかとなった。学校内の条件としての「多目的スペースの整備」「教材・教具の整備」、学校外の条件としての「社会諸施設との連携強化」「地域人材バンクの設立」などの整備を早急に進めることが、総合的な学習を成功させるためには不可欠の作業となるであろう。また、インタビュー調査より、総合的な学習に関する研究をすでに学校ぐるみで始めているところとそうでないところでは、教師の意識の上で非常に大きな違いがあることも明らかとなった。
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[Publications] 熊野 善介: "子供の視点からみた科学・技術・社会" 楽しい理科授業. 383. 6 (1998)
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[Publications] 熊野 善介: "教科をクロスする授業づくりの焦点" 楽しい理科授業. 388. 121-125 (1998)
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[Publications] 唐木 清志: "生きる力を育てる総合学習と福祉教育" 『福祉教育論』(村上尚三郎他編,北大路書房). 90-97 (1988)