1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610353
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Research Institution | Nagoya Jiyu Gakuin Junior College. |
Principal Investigator |
岸野 俊彦 名古屋自由学院短期大学, 文科, 教授 (80123355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 真樹 桜花学園大学, 人文学部, 教授 (60022381)
鈴木 重喜 正眼短期大学, 宗教科, 講師 (40261101)
松田 憲治 名古屋自由学院短期大学, 文科, 助教授 (00123357)
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Keywords | 尾張藩 / 支配機構 / 村役人 / 伊那谷 / 二重封臣制 / 地域ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、広範な支配領域を有し、多様な支配実体を示す「尾張藩」が単一の支配構造として成立し、その支配を維持してこれたのかを解明することにある。研究第2年度における活動は、第1年度に引き続いて「尾張藩」領域を構成する各県市町村史誌に記載された藩関係の資料・記述の収集につとめた。また、地域の資料館学芸員との地域ネットワークを構成することも本研究の目的の一つである。この結果、以下のような活動と新たな知見を得た。 (1) 尾張藩地方支配の実体を担った村役人層について、譜代・旗本領が交錯する小領主地帯においては不安定な領主権力に対して高い自立性を持つ役人層の実体が明示的に確認されるのに対して、尾張藩という強力な権力基盤に位置付けられた尾張藩の村役人層は、自ら積極的に支配権力と結合し、その社会的身分と位置を確保するところに特質が見られること。 (2) 従来、文学史レベルの評価に止まっていた俗文芸資料についても、詳細に点検すれば藩政史に正確に位置付けることが可能であり、民衆レベルでの藩政の実体を素直に反映した支配資料であるという資料価値の再評価と支配資料としての価値付けを行った。 (3) 学芸員を中心とした地域における研究ネットワークの積極的形成に寄与し、研究代表者による日本福祉大学知多半島研究所主催の地域シンポジュウム参加、研究分担者(松田)の海部郡地域学芸員との共同シンポジュウム開催といった研究成果の地域還元と地域との連係の基礎を確立した。 (4) 伊那谷における尾張藩家臣千村氏の幕府代官としての榑木支配、並びに尾張藩支藩高須藩の支配について資料的確認を行い、あわせて千村・高須松平両家と小笠原・知久等に代表される旗本との地域ネットワークの形成について、研究分担者(西田)の研究成果に依拠して新たな視点からの伊那地域における尾張藩支配についての一定の理解を共有した。
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Research Products
(2 results)