1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610388
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 明 広島大学, 文学部, 教授 (90025057)
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Keywords | フランス重商主義帝国 / 「人工国家ヴェストファレン王国」・ベルク大公国 / 隷農制廃止 / 国格顧問会議 / フランス式行政 / コローネン(ヴェストファレン地方隷農) / ナポレオン民法典 / 血統原理とメリトクラシー |
Research Abstract |
10年度は、ライン連邦ドイツ、とりわけ2つの「人工国家」ヴェストファレン王国とベルク大公国に即して、ナポレオンのフランスが、民法典の導入と、そのために必要とされた隷農制の廃止を、どの程度まで進め、またなぜこの改革が頓挫したのかを官僚制度の研究を中軸に据えて考察した。まず、9年度より詳しいナポレオン帝国史年表を作成し、歴史地図の作製をおこない、フランス支配下の行政区分に見通しをつけた。次に西北ドイツを東エレベと対比し、また西北ドイツ内部でのラフェンスベルクやミュンスター地方の農業歴史地理的な相違を考察した。その上で、ドイツ人官僚のタイプ分けをおこない、(1)「ナポレオン官僚」と見なし得るシメオンと旧プロイセン官僚のビューロー、マルヒュス、ベルレプシュ(男爵)など、および、(2)フランス人高官ブーニョとベルクのミュンスター貴族=非プロイセン貴族官吏メルフェルト(伯)などの間の指揮系統、接触状況を明らかにし、個々の立方にむけての協力関係・反目の実態を研究した。 その結果、フランス重商主義帝国のなかでのヴェストファレン王国樹立の政略的、戦略的側面を明らかにし、二つの人口国家の支配の在り方の比較検討までおこなった。 なお、ナポレオン時代の対外政策・ドイツ・イタリアで実現した改革の意味に関して、フランス人教授M.ペロネ氏や、イタリア人教授コルチウロ女史と往復文書により議論し、研究計画への助言を得、それを生かすことができた。
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