1998 Fiscal Year Annual Research Report
公務における任用及び人事管理の弾力化と公務員法制の課題
Project/Area Number |
09620051
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Research Institution | Waseda_University |
Principal Investigator |
清水 敏 早稲田大学, 社会科学部, 教授 (60136207)
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Keywords | 公務員 / 任用の弾力化 / 官民の相互の流動化 |
Research Abstract |
本研究の課題は、第一に、公務における任用の弾力化が公務員像にどのような影響をあたえるかであった。そのためには、まず、公務における任用の弾力化の現状を正確に把握する必要がある。そこで、主として近年における国家公務員法制における任用の弾力化の進行状況を把握する作業を行った。その結果、研究職および高齢職員の再任用制度において任用期限(1年から5年)を付した「正規」公務員を任用しうる制度改革が急ピッチで進行していることを確認できた。このことは、もはや公務における業務を一生の仕事として捉えない公務員が今後増大し、その結果、公務員像の変化を促す要因となろう。 第二の課題は、このような弾力化が公務における人事管理をどのように変化させているかである。この点については、若干の実態調査の結果をみる限り、民間の動向に比べると、未だ顕著な動きを把握することができなかった。しかし全く動きがないわけではなく、国レベルでは、たとえば一部の研究職について、きわめて業績主義的な給与制度の導入が図られている。また、勤勉手当については部分的ではあるが、業績主義的な支給を可能とする制度改革がなされ、地方公共団体の一部にも、これに倣うところが出てきている。今後の予定されている公務員制度調査会の報告内容にもよるが、給与制度の業績主義化は一層進行すると思われる。 第三に、このような任用の弾力化にもかかわらず、公務員法制全体としてみると、未だ大きな課題を抱えている。とりわけ、労使関係に関する適用法令は、民と官との間には大きな壁があるといわねばならない。職員(労働者)の官民の垣根を超えた移動を促進するためには、従来の高い垣根を低くすることが必要となろう。
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