1998 Fiscal Year Annual Research Report
土地保有税の課税ベース選択と、その算定(資産・収益評価)の方法に関する学際研究
Project/Area Number |
09630098
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
田中 一行 成蹊大学, 経済学部, 教授 (90054329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 正博 明海大学, 不動産学部, 講師 (10265358)
山村 能郎 香川大学, 経済学部, 助教授 (60284353)
瀬古 美喜 慶応大学, 経済学部, 教授 (60120490)
三木 義一 立命館大学, 法学部, 教授 (90102467)
肥田野 登 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (90111658)
田中 啓一 日本大学, 経済学部, 教授 (00102442)
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Keywords | 土地評価 / 固定資産税 / ヘドニック・アプローチ / 租税負担 / 課税の公平 / 課税標準 |
Research Abstract |
〔全体的な成果〕〔I〕土地保有税の課税標準について、(1)理論(租税原則)、(2)実証(ヘドニック・アプローチ)、(3)国際比較(制度、論争)、(4)実現可能性の4点から検討、(1)と(2)の面からは「収益標準」であるべきだが、(3)と(4)の面からは「資産価値標準」を否定できないとの結論を得た。ただし、資産価値標準を、実質的な収益標準として運用できることも示された。〔II〕土地価格評価については、(1)現行制度=取引事例比較法と(2)ヘドニツク評価法を比較して、両者に大きな隔たりがあることことを発見、アカウンタビリテイを要する課税評価では(1)でやむを得ないとしても、分析上は(2)をより重視すべきことが明確になった。なお(2)は、資産価値よりも収益の評価に適合していることも確認された。 〔個別的な成果〕〔田中一行〕都道府県クロスセクション・モデルで、現実の固定資産税が資産価値課税と収益課税の完全な混合物であることを示した。〔篠原正博〕土地保有税(及び不動産流通税)の制度と論争の広範な国際比較を行い、我が国における資産価値標準の維持(及び流通課税の軽減)を提案した。〔瀬古美喜〕新築住宅に対する固定資産税の軽減措置が、需要される住宅の特性に対して有する影響を、住宅貸付の個票データを用いて分析した。〔田中啓一〕現行固定資産税の問題点を分析、それを解決するために取引事例比較法から収益還元法へシフトが必要であることを、国際比較を交えて結論づけた。〔肥田野登〕東京と横浜の中心部で地価公示価格とヘドニック評価とが大きく乖離する事実を把握、後者を公表すべきであるとの政策的含意を導いた。〔三木義一〕ドイツ憲法裁判所決定(1995.6.22)を分析、地方土地保有税の負担と不動産評価のあり方を租税法学的の観点から整理した。〔山村能郎〕上記肥田野の研究をサポートする一方、近年における住宅地価格決定の要因を、世田谷区と豊中市で収集した取引データにより解析した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 田中啓一: "「収益還元法」重点化への課題" 評価情報. 2-7 (1998)
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[Publications] 篠原正博: "地方不動産税の課税標準" 明海大学不動産学部 DISCUSSION PAPER. 4. 1-53 (1998)
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[Publications] 田中一行・田中啓一 他: "新しい時代の固定資産税-固定資産税制の再構築に向けて" (財)資産評価システム研究センター, 395(23) (1999)
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[Publications] 瀬古美喜: "土地と住宅の経済分析" 創文社, 236 (1998)