1998 Fiscal Year Annual Research Report
生産の国際的展開と新生産方式の発展に関する理論的研究
Project/Area Number |
09630123
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
秋野 晶二 立教大学, 経済学部, 助教授 (50202536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 隆生 東邦学園短期大学, 経営情報科, 教授 (40194592)
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Keywords | セル生産方式 / モジュール生産 / 生産総量の低迷 / 生産量変動リスクの増大 / 生産のオープン化 / 生産の分散立地 / サプライチェーン / インターネット・イントラネット |
Research Abstract |
今年度は、新生産方式のなかで、(1)昨年度の電気・電子産業におけるセル生産方式に加えて、自動車産業におけるモジュール生産方式に関する文献・新聞の整理・検討、(2)工場見学による調査、(3)それ以前の生産システムとの関連・位置づけの歴史的・理論的検討を行った。文献・新聞の整理については企業別あるいは工場別に、記事・資料等を整理し、文献リストおよび企業別事例集作成のためのデータベース化の基礎資料を作成した。工場見学については、デンソー・本社工場、ソニー木更津、ソニー・ボンソン、山武・藤沢工場の4社に訪問し、調査を行い、上記データベースの資料に加えた。最後の新生産システムの位置づけについては、セル生産方式は、以前の少人化を志向したU字ラインの延長上に位置づけられるが、他方で、同一ラインで多品種を組み立てたり、さらには新製品を比較的少額の投資で改変を迅速かつ容易に行える小規模ラインを作り上げながら、効率的に多品種少量組立が行えるようになってきているという点で今までにはない新たな特徴がある。このような新たな展開は、国内総生産量の低迷と多品種化による差別化競争の激化を背景として、個別製品の生産量変動リスクが増大してきていることへの対応である。これに対して、製品が種々変更され、生産量の変動があっても、安定的に多品種を同一ラインで生産できる道を模索する中で作り上げられてきた生産方式なのである。またこのような生産方式にあっては、小規模生産の分散立地が可能となってきている一方、部品の調達量、製品の販売量の絶えざる変動リスクが存在するため、一層精緻化された物流ネットワーク、サプライチェーンの構築が不可欠であり、それを可能とする手段としてインターネットやイントラネットが活用されうる。さらに、このような時代にあっては、工場間、企業間などにおける部品・製品の相互融通関係がオープンに展開され、企業内・企業間において生産量を安定的に生産する関係が構築される可能性が生じてきている。
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[Publications] 秋野晶二: "「グローバル経営管理システム」" 野口宏・貫隆夫・須藤春夫編著『電子情報ネットワークと産業社会」. 77-91 (1998)
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[Publications] 小野隆生: "「ネットワーク型組織構造の形成」" 野口宏・貫隆夫・須藤春夫編著『電子情報ネットワークと産業社会」. 39-55 (1998)
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[Publications] 秋野晶二: "「円高下における在タイ日米電気電子企業と国際分業」" 日本経営学会編『環境変化と企業経営[経営学論集]』. 第69集. 137-143 (1998)
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[Publications] 秋野晶二: "「多国籍企業の展開とエレクトロニクス産業の立地運動」" 田坂敏雄編『アジアの大都市[1]バンコク』. 137-161 (1998)