1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 治 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60005957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 幸広 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (70250727)
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Keywords | 二チャンネル近藤モデル / 非フェルミ流体 / ウラン化合物 / 磁性不純物 / アンダーソンモデル / 数値くりこみ群 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き次の課題を研究した。 (1) 希薄ウラン系で2チャンネル近藤模型(TCKM)型異常物性を示している可能性の高い物質としてU_xTh_<1-x>Ru_2Si_2がある。この系の電気抵抗は降温につれ減少する。TCKMでは、通常逆に増加が期待されるが、アンダーソンモデルの立場からこれは理解可能か。 (2) TCKMでは絶対零度で残留エントロピー1/2ln2が残る。磁場印加や、結晶対称性の低下により、このエントロピーは低温で放出される。これに伴う低温比熱と帯磁率や抵抗異常との相互の関連はいかになっているか。 本課題により次め結論を得た。 (1) 非フェルミ流体状態で、弱相関領域に近く、かつf^2配位とf^3配位の揺らぎが主の場合、抵抗の温度依存性は降温につれ減少することが予想される。 (2) 残留エントロピーの放出は磁場や対称性低下によるエネルギー分裂の約10分の1程度の温度に比熱のピークを作る。対称性低下の場合、比熱ピークの生じる温度で、降温につれての帯磁率の増大は飽和する。非フェルミ流体基底からフェルミ流体基底への転移の生じるパラメー夕近辺でも、非フェルミ流体状態であれば残留エントロピーはほぼ1/2ln2の大きさを持つ。フェルミ流体であれば残留エントロピーはほぼln2が一時に放出され、比熱のピーク位置の温度で帯磁率の増大は飽和する。 最近U_xTh_<1-x>Ru_2Si_2の磁場中比熱が測定され、残留エントロピーは存在しないことが示された。計算結果に基づくと、通常のTCKM型としてこの系の低温異常の解釈をするのは困難である。格子歪みとの動的Jahn-Teller結合の役割を解き明かすべく研究を続行中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yukihiro Shimizu: "Analysis of Non-Fermi-liquid Behavior in Dilute Uranium Alloy Based on Numerical Renormalization Group Method" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 177-181. 316-318 (1998)
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[Publications] Osamu Sakai: "T^<1/2> Decreasing Resistivity with Decreasing Temperature : A Two Channel Impurity Anderson Model with an Extra Local Spin" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 177-181. 327-328 (1998)
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[Publications] Ryu Takayama: "Singlc Impurity Anderson Model with Coulomb Repulsion between Conduction Electrons on the Nearest Neighbour Ligand Orbital" Journal of Physical Society of Japan. 67・6. 1844-1847 (1998)
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[Publications] Yukihiro Shimizu: "Numerical Renormalization Group Study of non-Fermi-liquid State on Dilute Uranium Systems" Journal of Physical Society of Japan. 67・7. 2395-2407 (1998)
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[Publications] Wataru Izumida: "Koudo Effect in Single Quantum Dot Systems-Study with Numerical Renormalization Group Method" Journal of Physical Society of Japan. 67・7. 2444-2454 (1998)
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[Publications] Ryousuke Shiina: "Interplay of Fileld-Induced Multipoles in CeB_6" Journal of Physical Society of Japan. 67・3. 941-949 (1998)