1999 Fiscal Year Annual Research Report
特異なIN-OUT骨格を有するトリネルビタン-白蟻の外敵防御物質-の全合成
Project/Area Number |
09640647
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Research Institution | Faculty of Science,Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 忠弘 東京理科大学, 理学部, 教授 (20004319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星川 雅浩 東京理科大学, 理学部, 助手 (00287468)
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Keywords | 化学防御物質 / ジテルペン / IN-OUT骨格 / 有機合成 / トリネルビタン / センブレン類縁体 / 生合成類似反応 / 立体選択的環化反応 |
Research Abstract |
熱帯地方に生息するある種の白蟻には、自分達の集団を外敵から守るために、兵隊蟻が油状の化学防御物質を代謝することが知られている。この物質の中には、二環性のセコトリネルビタン、三環性のトリネルビタンおよびさらに環化した四環性のケンパンに代表されるジテルペンが含まれていることがPrestwichの研究によって明らかにされている。これらの天然物はその生理活性のみならず特異なIN-OUT骨格を有する点において有機合成化学的に極めて興味ある化合物である。 本研究は未だその全合成がなされていないこれらの天然物の全合成および合成品による殺虫活性を調査することを目的として行われたものである。 トリネルビタン類は、生合成的にはセンブレンの類縁体と考えることができる。我々はセンブレンの大量合成ルートの開発とその光学活性体合成への応用、二環性および三環性のセコトリネルビタン、トリネルビタンの全合成を目的とした反応を行った。その結果既にセンブレン骨格の好収率合成、生合成類似の反応による二環性セコトリネルビタンの構築および立体選択的な5員環形成による三環性のトリネルビタンの合成ルートを開発した。さらに、三環性のトリネルビタンから四環性のケンパン骨格の一段階変換反応の開発に成功した。加えて、最終天然物の全合成に向けた研究を行い、同一骨格を有する化合物について詳細なユニット反応を検討し、数多くの生物試験用試料を集積すると共にいくつかの有益な知見を得ることができた。
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[Publications] T.Kato,S.Ebihara,T.Furukawa,H.Tanahashi,M.Hosikawa: "Synthesis of (1S,2S,12S)-2-hydroxy-11-dihydroneocembrene"Tetrahedron:Asymmetry. 10. 3691-3700 (1999)