1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640683
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
尾崎 弘行 東京農工大学, 工学部, 講師 (40204185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真崎 康博 北里大学, 理学部, 助教授 (60199677)
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Keywords | 蒸着単分子層 / 単層成長 / アルカン誘導体 / ペニングイオン化電子分光 / 紫外光電子分光 / 分子軌道 / 局所電子分布 / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
ペニングイオン化電子スペクトル(PIES)と紫外光電子スペクトル(UPS)を用いてグラファイトの劈開面に形成したn-アルカン(I)、飽和脂肪酸の二価金属塩(II)、アルカジイン(III)、アルカテトライン(IV)の蒸着超薄膜の構造評価を行った。いずれの鎖状化合物でも分子が横たわって配列した単分子層が得られ、さらにこれを1層ずつ積み重ねて単層成長させることができた。しかし、I-IIIの場合は、単分子層と多分子層が微妙に異なるPIESを与えた。擬πMOとσ_<2S>MOの電子分布・状態密度のエネルギー依存性を詳細に検討した結果から、その原因は、1層めでは炭素のzigzag面が基板に平行に配向するのに対し、2層めからはzigzag面の短軸が傾くことにあると考えられる。なお、アルキル鎖が3箇所で折れ曲がった構造を有するIVは、多分子層においても単分子層のときと同様平らに配向することが分かった。 IIIの単分子層内光重合により得られる帯状巨大分子(atomic sash)も単層成長させることができたが、モノマーIIIの場合とは異なり、atomic sashのアルキル鎖は2層め以降も平らに配向した。ただし、累積過程のPISEでは最上層に配座の乱れたアルキル鎖が検出された。このことに対応して、atomic sashの1層部分(A)と2層部分(A^2)が混在する試料の走査トンネル顕微鏡(STM)観察では、同一領域に対する連続する走査でA-A^2境界が違う形状にみえ、隣のsashと接していないA^2部分端のアルキル鎖が不安定であることがわかった。ただし境界以外はA部分、A^2部分のいずれにおいても、アルキル鎖、ポリジアセチレン鎖は規則正しく配列していた。
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[Publications] Hiroyuki Ozaki: "Attempt to pile up extrathin sashlike macromolecules (atomic sashes)" J.Electron Spectrosc.Relat.Phenom.90(1)-91(3). 867-873 (1998)
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[Publications] 尾崎 弘行: "固体表面上の単分子層反応を利用する極薄有機超構造の構築-単分子層から単原子層へ・単原子層から層状物質へ-" 表面. 37(2). 83-94 (1999)