1998 Fiscal Year Annual Research Report
天敵誘引物質が三者系において果たす役割に関する研究
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09640759
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Research Institution | Kyoto College of Medical Technology |
Principal Investigator |
佐藤 芳文 京都医療技術短期大学, 診療放射線技術学科, 助教授 (80215871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 純示 京都大学大学院, 農学研究科, 助教授 (10197197)
大崎 直太 京都大学大学院, 農学研究科, 助教授 (70127059)
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Keywords | モンシロチョウ / オオモンシロチョウ / アオムシコマユバチ / 脂肪酸 / キレハイヌガラシ / 産卵選好 / 食性の進化 / アブラナ科植物 |
Research Abstract |
1. アブラナ科植物上の食い痕に生成される脂肪酸について、その後、同じ成分が幼虫の体表から分泌されていることを発見した。検討の結果、体表成分が食い痕に付着したのではなく、植物と昆虫の両者でよく似た物質を生成することが明らかになった。 2. 北海道におけるモンシロチョウ属の幼虫の食性の進化に関わる要因をさぐるため、網室内での産卵選好実験、恒温質室内での飼育実験を札幌市内(北海道大学農学部および八剣山果樹園)で行った。 チョウは、モンシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、スジグロシロチョウ、オオモンシロチョウの4種、食草は、コンロンソウ、ヒロハコンロンソウ、エゾハタザオ、キレハイヌガラシ、ダイコン、キャベツの6種類である。 摂食実験の結果は、どの種にとってもキレハイヌガラシが好適だった。なお、エゾハタザオは著しく栄養的に不良で、とくにオオモンシロチョウは数日ですべて死んでしまった。ところが産卵選好実験の結果、モンシロチョウはキャベツを好み、キレハイヌガラシへの産卵はわずかであった。スジグロシロチョウはコンロンソウに産卵し、キレハイヌガラシには産卵しなかった。寄主植物選択に生態学的要因が働いていることが示唆された。 3. 八剣山の麓の畑で採集したオオモンシロチョウ幼虫にアオムシコマユバチの寄生が見られた。一般にモンシロチョウ幼虫に対しては、1回当たり、20数涸産卵する。オオモンシロチョウ幼虫から脱出したハチの数が少なかったので、寄生幼虫を解剖して調べたところ、残っているハチの幼虫はなく、平均産下卵数は11.4(6から18)とモンシロチョウの場合の半分ほどであることがわかった。 北海道のハチはまだオオモンシロチョウに対して適応していないのかもしれない。
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[Publications] Ohsaki,N.and Sato,Y.: "The role of parasitoids in evolution of habitat and larval food plant preference by three Pieris butterflies" Researches on Population Ecology. 41(1)(in press). (1999)