1998 Fiscal Year Annual Research Report
共振読み出し型の高性能超伝導トンネル接合X線検出器
Project/Area Number |
09650065
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石橋 健二 九州大学, 工学部, 教授 (00159766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 秀彦 九州大学, 工学部, 助手 (20253495)
前畑 京介 九州大学, 工学部, 助教授 (30190317)
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Keywords | 超伝導 / トンネル接合 / X線 / LC共振 / 交流シェセフソン電流 / インビーダンス / 電流・電圧特性 / エレクトロニクス分解能 |
Research Abstract |
超伝導トンネル接合X線検出器は、その実用化の観点から測定効率を高めるために、大面積の検出器であることが望ましい。本研究は、大面積超伝導トンネル接合によるX線検出のために、共振型のバイアス印加・信号処理方式を検討し、その動作特性を調べることを目的としている。 超伝導トンネル接合の基礎現象の把握として、大面積トンネル接合の電流・電圧特性を、バイアス回路のインピーダンス低減の立場から調べた。トンネル接合には2つの超伝導層があるが、これら層間の誘起位相差の分布がトンネル接合の大きさに固有な定在波になると、交流ジョセフソン電流が余分な漏れ電流を生む。大面積トンネル接合の場合は、バイアス電圧0.1mV程度でもこの効果が現われ、検出器の電流・電圧特性が非線形になることを明らかにした。そこで、検出器信号の周波数帯域(〜1MHz)では高いインピーダンスであり、それより低周波数成分に対しては低いインピーダンスの共振型のバイアス方式は、検出器の電圧変動を緩和し、その動作の安定化に寄与する可能性を示した。 共振回路系を用いた検出器のバイアス・信号処理方式の実験の結果として、6keVのX線に対してエレクトロニクス分解能は、通常の実験室で800eV、電磁シールドを施した実験室で240eVとなった。しかしながら、理想的な性能として予測した値より1桁大きな値にとどまった。これは、共振系を使用する場合には、共振周波数帯域の外部雑音信号の遮蔽がきわめて重要であり、理想的な性能を得るためには完全に電磁シールドを施した環境が必要であることが明らかになった。
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