Research Abstract |
快・不快感情における脳波の特性解析 快および不快感情における脳波の違いを,(1)α波含有率,(2)1/fゆらぎ,(3)パワー伝達特性の3つの指標により解析することを試みた。ここで快・不快は,座位閉眼の被験者に,音と匂いを同時に,それぞれ6分間与えることで誘起させた。電極は国際10-20法に沿った10個とし,18名の被験者に,3回/1名の実験を行った。 (1)α波含有率:不快時に比べ,快時にα波含有率が有意に増加する被験者のIグループ(7名)と,逆に,有意に低下するIIグループ(9名)に分離された。このような2つのグループに分かれた原因を究明するため,被験者の覚醒状態の違いについての解析を進めている。(2)1/fゆらぎ:脳波のパワースペクトルの対数を求め,1[Hz]〜8[Hz],および13[Hz]〜50[Hz]の2つの帯域に分けて,スペクトルの傾きmを計算し,比較する。快時にはm=1に近くなるという先行研究があり,そのような特性を示すか否かについて解析を行う。(3)パワー伝達特性:脳波を多次元自己回帰モデル化することで脳内に電極数分のホワイトノイズ源(互いに独立していることが条件)を仮定し,このノイズ源からの表面電極までのパワー伝達特性を計算し,比較する。(1)パワー伝達特性の計算方法の有効性を評価するために,ノイズ源の独立性のパワー伝達特性への影響を,シミュレーションにより明らかにした。(2)10個の電極からの実脳波について,パワー伝達特性計算法に基づいてホワイトノイイズ源の独立性を評価したところ,独立性が不十分な場合が多くあることが明らかになった。(3)独立性が高い場合の実脳波について,現在,パワー伝達特性の解析を進めている。これら検討の後,(1),(2),(3)を総合して,快・不快における脳波の違いを評価する.
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