Research Abstract |
軟岩としては石川県能登半島に分布する「珪藻泥岩」を,破砕性土としては鹿児島県で採取した「しらす」を用いて,鋼材と土の一面せん断試験を実施した。鋼材は人工的に表面に凹凸を付けたものを計6種類準備した。その内4種類は規則的な凹凸を有しており,それぞれ最大粗度R_<max>が10μm,20μm,30μm,40μmである。他の2種類の鋼材は実際の鋼管杭に使用される材料であり,不規則な表面凹凸を有しており,それぞれR_<max>が16μm,30μmである。 珪藻泥岩では,飽和試料および乾燥試料を用いて,圧密圧力1,2,3,4,5 kgf/cm^2で圧密をした後,せん断速度0.5mm/minおよび5mm/minで10回の繰返しせん断を行った。このせん断速度の範囲では,摩擦係数に及ぼすせん断速度効果は見られなかった。また,飽和および乾燥試料の間には,鋼材との摩擦係数にほとんど差は無かった。飽和および乾燥試料とも,鋼材のR_<max>が大きくなるほど,摩擦係数μが増加するが,あるR_<max>を超えると,摩擦係数μの増加は見られなくなる。R_<max>が一定の場合,繰返しせん断の回数の増加と共に,摩擦係数μが増加するが,その最大値は珪藻泥岩の内部摩擦係数と同程度となった。 しらすでは,数回の繰返しせん断によって急激に摩擦係数μが増加し,しらすの内部摩擦係数に達した。しらす試料の場合,一面せん断試験前後に「ふるい分け試験」を実施したが,試験後に細粒分が明らかに増加しており,粒子の破砕性が繰返しせん断に伴う急激な摩擦係数の増加に関係していることがわかった。すなわち,粒子破砕によって生じた細粒分が鋼材の凹凸に入り込み,鋼と土のせん断モードから土と土のせん断モードに変化するため,摩擦係数が土の内部摩擦係数に容易に移行していることを推察できる。
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