1998 Fiscal Year Annual Research Report
低温STM/AFMおよび放射光を用いた分子吸着構造の研究
Project/Area Number |
09650720
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
八木 伸也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (20284226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (10284225)
JACQUES Ghij 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (50291224)
橋本 英二 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (50033907)
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
谷口 雅樹 広島大学, 理学部, 教授 (10126120)
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Keywords | STM / Si(111)7×7 / 放射光 / X線吸収微細構造 |
Research Abstract |
本研究では当初アルミニウム単結晶基板を調整する予定であったが、その清浄で原子規則性をもった表面が得られたものの、アルミニウム原子に特有な表面自由電子が非常に多く存在するために、STM像が観察されなかった。そこで本研究では、Si(111)7×7再構成表面を基板を選び、その分子吸着系についてSTM観察を行った。基板であるSi(111)7×7の不整合(faulted)領域と整合(unfaulted)領域間には、すでに幾分かの分極が生じていることがこれまでに知られており、この状態が表面と吸着分子との相互作用にどのように影響するかについても吸着構造と合わせて調べた。吸着分子としては、ベンゼン、アセトニトリル、ピリジン、トルエン、アニリンを選んだ。その結果、ベンゼンは選択的にfaulted領域に吸着し、faulted領域が無くなった時点でunfaulted領域に吸着することが観察され、それぞれの領域における分子との反応性について明らかにした。アセトニトリル、ピリジンそしてトルエンでは、faulted領域とunfaulted領域をまたいだ形に吸着していることを見出した。また、分子が表面で配向して吸着していることもわかった。アニリンでは、表面におけるcenterアダトムとcornerアダトムの反応性の違いについて明らかにすることができた。さらに、吸着量を増加させると基板表面で分子が重合しポリマーを形成することがわかった。 一方放射光を用いた研究では、用いる放射光を試料まで導入するためのビームラインの設計および立ち上げを行った。このたび設計したビームラインでは、Si,P,S,Cl,Ar,K原子のK吸収端近傍の放射光(1800-4000eV)を分光することができ、Siウェハー、K_2SO_4、NaClなどに含まれる各元素(Si,S,Cl,K)のX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルの測定に成功した。また、硫黄原子を含む分子である硫化ジメチルのNi(100)単結晶表面におけるXAFS測定にも成功しており、分子吸着表面の構造研究に利用可能であると評価した。
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