1998 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散で形成される鉄シリサイドの成長挙動と熱電能特性
Project/Area Number |
09650722
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Research Institution | KYUSHU INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
下崎 敏唯 九州工業大学, 機器分析センター, 助教授 (00093964)
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Keywords | 反応拡散 / 鉄シリサイド / 熱電変換材料 / FeSi2 / Fe3Si / 不純物 |
Research Abstract |
【目的】鉄とシリコンの化合物の一つであるFeSi_2は熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電材料の一つである。FeSi_2を通常の熔融法で作成すると固体と液体間の包晶反応で形成されるため、高温で長時間の加熱が必要とされる。また、組成の制御が困難で異種相や欠陥が導入されやすいなどの問題がある。反応拡散法によれば組成の制御が容易であること、欠陥の無い試料の作成が可能となる、不純物のドープが行えるなどの利点がある。本研究の目的はFeSi_2を反応拡散法によって作成し、その熱電能特性を評価することである。本研究ではまず、Feシリサイドの成長挙動を調べた。 【方法】純度の異なる3種類の鉄(市販の99.99%、99.8%および新日鐵製IF-steel)の板状試料およびシリコンウエハーを10mmx10mmx1mmの試片とし、互いの接合面を鏡面研磨した。例えば、Fe(99.8%)/Si/Fe(99.99%)サンドイッチ型拡散対となるよう研磨面を張り合わせて、973〜1223Kに設定された真空加圧炉中で加熱した。加熱後、Fe-Si間に形成されたシリサイド相をEPMAで観察、相厚を測定した。 【結果】Fe/Si拡散対内にはFe_3Si、FeSiおよび本研究で目的とするFeSi_2相が形成された。IF-steelおよび99.8%Fe/SiではFe_3Siが一番厚く、FeSi_2はほとんど成長しない。99.99%Fe/Siでは3種類のシリサイドがほぼ同じ厚さに成長する。全相の厚さはFeの種類に依存して著しく異なり、IF-steelでは4N-Feのおよそ10倍となった。 IF-steelには添加元素としてTi、2N-FeにはMn、4N-Feには酸素が多く含まれておる。4N-Fe中の酸素が成長速度を抑制し、IF-steelに添加されているTiが酸素の抑制効果を取り除いていると考えることによって、この成長挙動が上手く説明できる。本系ではデータのばらつきが大きく実験が困難であった。このため、本研究の目的であるFeSi_2の作成が上手くいかなかった。今後、薄板鉄とSiを最終組成がFeSi_2となる拡散対を用いて熱電特性の測定が可能な試料の作成を試みる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Shimozaki,: "Effect of Diffusion Barrier and Impurities in Titanium on the Growth of TiAl3 Layer" Defect and Diffusion Forum.143-147. 591-596 (1997)
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[Publications] T.Shimozaki,: "Effect of Impurities on Growth of Ti Silicides in Bulk Ti/Si Diffusion couple" Trans.JIM.38-10. 865-870 (1997)
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[Publications] T.Okino,: "Self-interstitial in Silicon" Jpn.J.Appl.Phys.36.p1-11. 6591-6594 (1997)
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[Publications] T.Okino: "Point defect generation by the oxidation of silicon surface" Proceedings of(DRIP VII),Institute of physics Conference Series Number. 160. 265-268 (1998)
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[Publications] 大西正巳: "2元系反応拡散における異相界面移動に関する界面反応と局所平衡" 日本金属学会誌. 62.6. 505-509 (1998)