精密重合法を用いた末端型C_<60>オリゴマーの合成とその応用

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09650979
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 宮本 武明 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027050)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 呑海 信雄 京都大学, 化学研究所, 助手 (90237181) ; 箕田 雅彦 京都大学, 化学研究所, 助手 (30229786)
• Keywords: フラーレン(C_<60>) / ビニルエーテル / リビングカチオン重合 / イオンカップリング反応 / 1,2-付加体 / サイクリックボルタンメトリー / キャスト膜 / 水溶性フラーレン誘導体

Research Abstract

本年度は、ビニルエーテル(VE)類のリビングカチオン重合法を基礎技術として、構造の明確な末端型フラーレン(C_<60>)ビニルオリゴマー誘導体を各種合成し、それらの溶解特性や電気化学的性質を調べると共に、C_<60>が均一に分散した薄膜ならびにブレンド膜の作製についても検討した。得られた研究成果を以下に記す。
1.C_<60>オクチニル誘導体より調製される炭素アニオン種を、CH_3CH(OiBu)Cl/ZnI_2系開始剤によるリビングカチオン重合を用いて別途調製した、アルキルVEのリビングオリゴマーカチオン種とイオンカップリング反応させることで、35〜70%の収率で目的の付加生成物を合成することができた。UV-VIS、^1H-および^<13>C-NMRによる詳細な解析の結果、生成物は両イオン種が1対1で結合した設計通りの構造を有すること、さらに1,2-付加反応が選択的に進行したことを明らかにした。
2.アルキルVEオリゴマー鎖を有する誘導体は、既存の各種C_<60>低分子量誘導体に比して、汎用有機溶剤に対する溶解性の向上が認められ、C_<60>単体が備える電子的性質を保持していることを電気化学的手法により確認した。さらに、C_<60>ポリメチルVE誘導体は、ポリVEのみならずポリスチレンとも相溶であり、溶剤キャスト法によりC_<60>が均一に分散したポリVE-ポリスチレンブレンド薄膜を作製することができた。
3.側鎖エステル基を有するVEオリゴマーを用いて末端型C_<60>誘導体を合成し、次いで加水分解することで、ビニルオリゴマー部位の側鎖に水酸基あるいはカルボキシル基を有する水溶性末端型C_<60>VEオリゴマー誘導体を合成することに成功した。特に、既報の各種親水性C_<60>誘導体に比して、極めて大きな水への溶解度(C_<60>換算で約25mg/mL)を有するカルボン酸Na塩型誘導体をはじめて合成した。

Research Products

• [Publications] H.Okamura: "Synthesis of C_<60>-capped vinyl ether oligomers by living cationic polymerization etchnique" Macromol.Chem.Phys.198・3. 777-786 (1997)
• [Publications] H.Okamura: "Synthesis of 1,4-dipolystyryldihydro[60]fullerenes by using 2,2,6,6-tetramethyl-1-polystyroxypiperidine as a radical source" Macromolecules. 30・18. 5279-5284 (1997)
• [Publications] H.Okamura: "Solubility and micellization behavior of C_<60>fullerenes with two well-defined polymer arms" Macromolecules. (印刷中). (1998)