突然変異イネを利用したいもち病のレース・品種特異性の解明

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09660050
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 荒瀬 栄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (40127478)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 本田 雄一 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (40181557)
• Keywords: いもち病 / 突然変異イネ / 宿主特異的毒素 / 遺伝子対遺伝子 / エリシター

Research Abstract

突然変異イネ関口朝日の切り取り葉鞘に親和性イネいもち病菌を接種し、24時間後に接種菌を取り除き、親和性イネいもち病菌あるいは非病原菌(Altenaria alternataやメヒシバいもち病菌)を後接種した。その結果、非病原菌は葉鞘細胞内へ容易に侵入し、葉鞘細胞に受容性が誘導されていたが、非親和性菌の侵入は助長されず、受容性は誘導されなかった。この結果は、いもち病菌には基本的親和性成立に結びつく受容性の誘導能があるが、非親和性いもち病菌にはその誘導を阻害し、拒否性を誘導するエリシターを生成していることを示した。しかも、親和性菌や非病原菌では。拒否性が誘導されないことよりこのエリシターは非親和性レース特異的である可能性を示唆した。非親和性菌胞子をバット内で発芽させて得た発芽液をイネ葉鞘に前処理後、非病原菌A.alternataを接種するとAlternariaは容易にイネ細胞内へ侵入し、発芽液による拒否生の誘導現象は見られなかった。しかし、イネ葉鞘内に接種して得た葉鞘内接種液の前処理ではAlternariaの侵入は抑制され、拒否生の誘導現象が確認された。
以上の結果は、非親和性いもち病菌は宿主上で品種特異的エリシターを生成していることを示した。