1998 Fiscal Year Annual Research Report
プロセッサー作業に伴って発生する技条の林地への還元に関する研究
Project/Area Number |
09660164
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
後藤 純一 高知大学, 農学部, 教授 (90127928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 武二 高知大学, 農学部, 助教授 (30036743)
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Keywords | プロセッサー / 技条 / 物質循環 / 養分の還元 |
Research Abstract |
平成10年度に実施した実験調査によって得られた成果を2つの課題に区分して報告する。 1. 枝条を林内に還元した場合としない場合で林地の環境はどれだけ違うか,どのように還元すべきか。 チップの散布によってマルチング効果を発揮し,雑草木の初期の発生が抑制できる。散布する物質は落葉落枝でも効果があるが,チップの方がより有効であった。また,チップを散布すると1種のみが優占するのを抑え,いくつかの種類が競合するような環境が生じている。チップのサイズについての相違は明確ではなかった。チップの分解による堆積量の減少,その養分の還元によって,一旦定着した雑草木の成長の促進に至る可能性もあり,下刈り作業の省力化となりうるのか,継続した調査が必要である。 還元の方法について,チップ化した後あるいは枝条のままH型架線や三角架線などの面集材の技術を用いて林内に運搬散布することが考えられるが,皆伐作業ではこれらの架線技術を利用することが非経済的であるとともに,現実的にも希であることから別途方法を検討する必要がある。 2. 堆積した枝条が下方にどの程度移動するのか,枝条の養分はどれだけ流出するか。 枝条の下方への移動や養分の流出については、平成9年度の調査結果の傾向が継続しており,枝条の移動については,その場で鉛直方向に沈降している。枝条をチップ化して林地に散布した場合の移動について,人工降雨実験装置を用いて観察した。厚さ4mmの材チップについてのみ,降雨強度が強くなるにつれて厚みが減少する傾向にあったが,より厚いチップでは波をうった形状に局部的に変化するものの,いずれの場合においてもプロット下方にまで流出する事例は見られなかった。一方,現地での観測では時間雨量が50mmを超える場合に表層土の流入や下方への移動など状態の変化が著しく,チップの移動は雨滴の大きさに起因しているものと推測される。
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