1997 Fiscal Year Annual Research Report
ネコ免疫不全ウイルスとネコ伝染性腹膜炎ウイルスにおけるCD8陽性細胞の役割
Project/Area Number |
09660328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宝達 勉 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00129264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 弘之 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (00072372)
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Keywords | ネコ免疫不全ウイルス / ネコ伝染性腹膜炎ウイルス / CD8^+T細胞 |
Research Abstract |
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)およびネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の感染初期におけるCD8^+T細胞の役割について検討した。 FIV感染では、FIVを腹腔内に接種後、翌日からヒトsuppressor/cytotoxic T細胞(CD8)を認識するモノクローナル抗体(MAb) OKT8とウサギ補体を投与し、末梢血中のCD4^+細胞およびCD8^+細胞の変動をFlowcytometoryにより解析した。その結果、OKT8とウサギ補体を投与した群では、一過性に顕著なCD8^+細胞の減少が観察された。しかし、その後、CD4^+/CD8^+細胞比に顕著な差は認められず、少なくとも6ヶ月間はウイルス対照群と同様に推移した。また、末梢血リンパ球からのFIV proviral DNAの検出およびELISAによるFIV抗体の検出にも両群に著しい差はなかった。しかし、ネコTリンパ球株化細胞のKumi-1細胞を使用したplasma viremiaの比較では、ウイルス対照群で2週目から3週目までウイルス分離陽性であったのに対し、OKT8とウサギ補体投与群では2週目から6週目までウイルス血症が持続した。これらの結果は、FIV感染初期におけるCD8^+細胞の働きとその役割の一部を示したものであり、少なくともCD8^+細胞はplasma viremiaの持続に対して重要な役割を担っていることが示唆された。 FIPV感染では、FIPVを経鼻・経口接種し、末梢血中のBリンパ球、CD4^+T細胞およびCD8^+T細胞の変動を調べた。その結果、すべての個体に共通して、ウイルス接種後3日目から9日目においてリンパ球数が著しく減少する傾向が見られ、B細胞よりもT細胞が、さらにT細胞の中でもCD4^+T細胞よりもCD8^+T細胞の著しい減少が認められた。この減少は感染耐過個体に比べ、FIP発症個体で特に著しかった。
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