1997 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌系における血管内皮増殖因子(VEGF)の発現と局在
Project/Area Number |
09670006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井関 尚一 金沢大学, 医学部, 教授 (50167251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
范 莉英 金沢大学, 医学部, 助手 (90291369)
山本 美由紀 金沢大学, 医学部, 助手 (60139780)
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Keywords | 血管内皮増殖因子 / VEGF / 内分泌系 / 免疫組織化学 / ラット |
Research Abstract |
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管内皮の特異的受容体に働いて内皮細胞増殖および血管透過性亢進を起こす分泌性の糖蛋白質である。これまでVEGFはもっぱら腫瘍や胎仔の組織において主にその遺伝子発現が解析され、血管増生との関係が指摘されてきたが、正常組織におけるVEGFの発現や、VEGF蛋白質の組織・細胞レベルでの局在には不明の点が多い。本年度の研究では、特異的抗体を用いて、正常のラット全身におけるVEGFの免疫組織化学的局在を検索したところ、高度ないし中等度の免疫反応性が、ある種の内分泌細胞に局在することを見いだした。隣接切片を各種のホルモンへの抗体で免疫染色して比較したところ、VEGF陽性細胞は甲状腺の傍濾胞細胞、膵内分泌部のB細胞、副腎髄質のノルアドレナリン分泌(N)細胞のそれぞれすべてと、下垂体前葉のFSH分泌細胞の一部であることが判明した。また外分泌細胞のうち、胃の表層粘液細胞にもVEGF免疫反応が見られた。免疫電顕によると、免疫反応性はこれらすべてのVEGF陽性細胞で分泌顆粒の中に局在した。これらの結果は、特定の内分泌細胞がホルモンと同時にVEGFを分泌することにより周囲の血管透過性を亢進させ、ホルモンの血中への移行を制御している可能性を示唆した(論文印刷中)。これ以外に、気道の上皮および消化管の粘膜固有層に存在するある種の細胞(細胞種は未同定)にもVEGFの免疫反応が見られたが、これらの細胞の解析は次の年度に行う。
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