1999 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧性臓器障害の評価における24時間血圧および家庭血圧の意義に関する疫学的検討
Project/Area Number |
09670405
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 重幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60253994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東浦 勝浩 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10295347)
高木 覚 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20295348)
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Keywords | ABPM / 高血圧 / 臓器障害 / HGF |
Research Abstract |
【目的】これまでに血管内皮の特異的増殖因子であるHepatocyte growth factor(HGF)は高血圧と高血圧臓器障害例で代償的に上昇していることが明らかにされ、臓器障害の指標として用いられる可能性が指摘されている。本研究では昨年度までの検討で、24時間自動血圧計(ABPM:TerumoES-H531)により測定した血圧日内変動での夜間降圧消失者ではHGFが高値となることを観察し、血圧日内変動の消失と高血圧臓器障害が関連する可能性を見出した。本年度は血清HGF濃度と既存の高血圧重症度指標および他の循環器疾患危険因子との関連を多数例において検討し、また血圧の日内変動と家庭血圧と高血圧臓器障害の関連を検討した。 【方法】検討項目は血圧日内変動および検診時随時血圧値とHGF、心電図変化、眼底変化、コレステロール値、耐糖能。対象は平成9年度から平成11年度の住民検診において明らかな糖尿病、腎疾患、肝疾患が否定され降圧薬の服用がない者男性77名、女性95名(平均年齢61±11才)。全員の24時間血圧を測定して日中血圧の平均値(dSBP,dDBP)、夜間睡眠時血圧の平均値(nSBP,nDBP)を評価した。早朝空腹時に検診を行い随時血圧(cSBP,cDBP)測定、採血、採尿、心電図測定、眼底検査を行った。HGFは既報のELIASを用いて測定した。 【結果】全対象でのdSBP、dDBP、nSBP、nDBP、cSBP、cDBPはそれぞれ134±18、84±11、126±17、78±11、138±13、85±9mmHgである。HGFは,昼と夜の血圧差(dDBP-nDBP、dSBP-nSBP)と有意な負の相関を認めた。また心電図上の左室肥大、高血圧性眼底変化の有るものでHGFの大なる傾向が認められ、これは耐糖能異常のあるものでより顕著であった。 【結論】左室肥大、高血圧性眼底変化ではHGFの上昇が認められ、とくに耐糖能異常ではHGFは高血圧臓器障害を反映している可能性が示唆された。
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