1997 Fiscal Year Annual Research Report
G型肝炎ウイルスの遺伝子変異検出とその病態との関連についての検討
Project/Area Number |
09670480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 純 九州大学, 医学部, 助教授 (20150443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 久美子 九州大学, 医学部, 医員
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Keywords | G型肝炎ウイルス / 疫学 |
Research Abstract |
近年新たな肝炎ウイルスであるG型肝炎ウイルス(HGV)が発見されているが、その感染経路や肝臓に及ぼす影響は末だ不明な点が多い。これらの点を解決するためC型慢性肝疾患患者、HCVの感染率が高い血液透析患者およびcommercial sex worker(CSW)のHGVRNAを測定し、検討したので報告する。 C型慢性肝疾患患者247例、血液透析患者494例、CSW96例について、5'側非翻訳領域で設定したプライマーを用いたPCR法にてHGVRNAを測定した。その他、HCVRNA(PCR法)、HBs抗原(RPHA法)、HBc抗体(RIA法)も測定した。C型慢性肝炎でHGVRNAが陽性であった5例にインターフェロン(IFN)が投与されていた。 C型慢性肝疾患でのHGV感染は全体で22例、8.9%で、慢性非活動性肝炎7.7%、慢性活動性肝炎10.6%、肝硬変7.7%、肝癌8.2%で病型による差はみられなかった。HGV感染例の輸血歴は45.5%であった。IFNが有効であったC型慢性肝炎患者2例中1例にIFNによるHGVRNAの持続陰性化と肝機能の正常化がみられたが、無効であった3例中2例では持続陰性化がみられたが、肝機能の正常化はみられなかった。透析患者でのHGV感染は全体で34例、6.9%で、透析期間が10年以上では12.6%と9年以下の4.4%に比較して有意に高率であった(p<0.01)。HGV感染例の輸血歴は64.7%であったが、透析経過中に輸血歴もなくHGVに感染し、キャリア化した例もみられた。また、透析患者における肝機能異常例はHGV単独感染13例にはなく、HCV重複感染21例中19.0%であった。CSWにおけるHGV感染は全体で12例、12.5%で、就業年数が5年以上では24.3%と4年以下の3.6%に比較し有意に高率であった(p<0.01)。年齢やHCV、HBVおよび梅毒などの感染とは関連がなかった。 HGVはHCVとの重複感染もみられ、HCVと類似した感染様式が考えられたが、肝障害との関連は否定的であった。また、HGVはIFNによる排除も可能であるが、その感受性はHCVとは異なっていることが考えられた。
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