1999 Fiscal Year Annual Research Report
病変部特異的遺伝子検出(RDA)法によるクローン病病原体の解明
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09670506
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
千葉 満郎 秋田大学, 医学部, 助教授 (90150250)
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Keywords | クローン病Cnohn's disease / リンパ濾胞 / 微生物学 / 16S rRNA / 病因論 / Staphylococcus aureus / 潰瘍性大腸炎 / 炎症性腸疾患 IBD |
Research Abstract |
1)ヒト腸管リンパ濾胞における細菌16S ribosomal RNA(rRNA)の検出 昨年度に引き続き、ヒト腸管リンパ濾胞における細菌16S ribosomal RNA(rRNA)の検出を、症例数を増加して検討した。また汚染による偽陽性を検討した。 その結果、(1)細菌16S rRNAはnon-IBDでは14例中2例(14%)に、クローン病では14例中4例(28%)に、潰瘍性大腸炎では5例中2例(40%)に検出された。(2)陽性の8例より19のrRNAが検出され、そのうち5個は、100%のhomologyを示し、staphylococcus species(3個)、Streptococcus sanguis(1個)、Paracoccus marcusii(1個)が同定された。残りの14個は100%以下で、データが登録されていないか未知の細菌であった。以上よりヒト腸管リンパ濾胞における細菌16S rRNAを始めて証明した。本研究は今後のリンパ濾胞微生物学の先駆けをなすものであり、今後、種々の病態との関連が明らかにされると思われる。リンパ濾胞内の細菌がクローン病、潰瘍性大腸炎の発症に関与するか否かは今後の検討を要する。 2)クローン病におけるStaphylococcus aureusの関与 クローン病でスーパー抗原の関与の可能性が指摘されている。スーパー抗原としてはS.aureusがもっとも代表的であり腸管よりS.aureusが検出されるか否かをS.aureusのcoagulase遺伝子を増幅するPCRで検討した。クローン病38例を検討したが、クローン病初期病変が出現するリンパ濾胞を含めて全例陰性であり、S.aureusの関与は一次的な発症にも、二次的な病像の修飾にも極めて少ないと結論した。
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[Publications] Chiba M,et al.: "Presence of bacterial 165 ribosomal RNA gene segments in human intestinal lymph follicles"Scandi J Gastroenterol. (in press). (2000)
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[Publications] 千葉満郎,飯塚政弘: "炎症性腸疾患 腸内細菌・ウイルス"消化器病セミナー・77 へるす出版 馬場忠雄(編). 320 (1999)
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[Publications] 千葉満郎: "炎症性腸疾患"医学書院(武藤徹一郎,八尾恒良,名川弘一,桜井敏弘(編). 301 (1999)