1997 Fiscal Year Annual Research Report
TNBS誘発腸炎モデルマウスを用いたCrohn病治療法の開発
Project/Area Number |
09670545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 秀次 大阪大学, 医学部, 講師 (20237423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 了文 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
金澤 済江 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
小川 弘之 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
竹田 晃 大阪大学, 医学部, 助手
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Keywords | 炎症性腸疾患 / クローン病 / 腸炎モデルマウス |
Research Abstract |
マウス実験腸炎モデルの作製 実験動物での腸炎モデルとしては、主としてラットにおいてTNBS(2.4.6-trinitrobenzene sulfonic acid)及びDSS(Dextran sodium sulfate)を用いる方法がある。特にTNBS誘発腸炎はヒトのクローン病モデルになるとされている。今回、新しい治療法の開発を目指し、リンパ球・サイトカインの解析が行い易いマウスの系での慢性腸炎モデルの作製を試みた。今まで一施設よりマウスにおけるTNBS誘発腸炎が報告されており、その報告に従い我々は8週令のBalb/cマウスを用いてTNBS腸炎モデルの作製を試みた。TNBSを50%エタノールに溶解し、マウス一匹あたり0.5mg/100μl量で注腸処理した。報告では、注腸処理後、慢性下痢が出現し体重減少するとされている。しかし我々の系では、腸炎は発症しなかった。TNBSの量的な問題も考慮し、注腸量を1mg,2mg,5mgと増量するも、また1週毎2-3回注腸処理したが腸炎は発症しなかった。マウス種のことも考慮し、C3H/HEJマウス、C57BL/6マウスを用いて検討したが腸炎は発症しなかった。以上より我々のマウスの系においてはTNBS誘発腸炎モデルは作り難いと考えらる。また今までのヒトクローン病患者粘膜における発現サイトカインの解析より、IL-6は肉眼的病変部、非病変部を問わず漿膜下血管周囲に強く発現していることを見出した。この事実よりIL-6はクローン病の発症に関与していることが強く示唆される。IL-6/IL-6レセプターダブルトランスジェニックマウスにおいてTNBS投与により慢性腸炎が発症するか否か現在検討中である。 次に、DSS誘発腸炎モデルについて検討した。文献に従い、マウスに5%DSS水を自由に給水させることにより、4〜5日目より血便が出現し体重減少が認められ腸炎の発症を確認できた。Bslb/cマウス20匹中20匹、C57BL/6マウス5匹中5匹に腸炎が発症した。DSS誘発腸炎モデルを用い腸管における各種サイトカインの発現、特にIL-6の関与をIL-6ノックアウトマウスを用いて検討すると共にT細胞受容体Vβレパトアの解析も行う予定である。
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[Publications] 小川弘之他: "クローン病腸粘膜におけるT細胞受容体Vβレパトアの解析" 消化器と免疫. 29. 106-111 (1994)
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[Publications] H.Ogawa.et al: "Univrsal Skew of T cell Receptor Vβ Usage for Crohns Disease" Biophys.Biochem.Res.Comm.240. 545-551 (1997)