1997 Fiscal Year Annual Research Report
ST alternans現象を用いた心室細動の発生機序 解明と発生確率の定量的評価
Project/Area Number |
09670690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
白壁 昌憲 山形大学, 医学部, 助手 (10241697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八巻 通安 山形大学, 医学部, 助手 (40191217)
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Keywords | ST alternans / 心室細動 / リエントリ- / 虚血再灌流 |
Research Abstract |
心室不整脈の発生に先行してみられるST alternansどのような機序で心室細動の発生に結びつくかについての検討を行った。まず麻酔開胸犬12頭の洞結節を挫滅、心周期400msecで右房ペーシングを行った。ついで左前下行枝を剥離し20分間冠閉塞の後再灌流し、冠閉塞中1分ごとおよび再灌流時に心室細動が生じたところで高分解能マッピング装置用い64点心表面心電図を同時記録した。J点から40msecのST電位を計測し、ST変化の程度(maxST)と範囲(nST)、連続する2心拍のST電位の差の絶対値ST alternans amplitude (STa)を求めた。再灌流時に心室細動が生じた(Vf)群6頭と生じない(non Vf)群6頭を比較するとnSTはVf群24.0±2.6(mV)、nonVf群19.5±1.7、maxSTはVf群14.5±3.5(mV)、nonVf群15.7±2.9と両群に有意差を認めなかった。このことからST変化の程度や範囲がVfの発生を規定しないことが判った。一方STaではVf群6.9±2.0(mV)、nonVf群1.6±0.1とVf群で有意に大であり心室再分極特性の空間的ばらつきがVf発生の規定因子となっていた。さらにVf群の興奮伝播過程を検討すると心室細動に至る心室期外収縮発生部位は、ST alternansを示す誘導とは必ずしも一致せず、ST alternansの程度が強く、特にST alternans位相がdiscordant(空間的不一致)となる境界でその興奮波が一方向性にブロックされリエントリ-が形成された。この結果よりST alternansが心室細動の発生に至る過程において「discordant ST alternansの境界での一方向性ブロックに基づくリエントリ-が形成」が重要な意義を持つこと指摘できた。
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[Publications] Tachibana H., et al: "Effects of activation sequence on monophasic action potential configuration on the dog" Journal of Electrocardiology. 30・1. 65-70 (1997)
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[Publications] Kondo T., et al: "Electrophysiologic effects of sodium channel blockade on anisotropic conduction and conduction block in carine myocadium" Joornal of the Amevrcan College of Cardiology. 29・7. 1639-44 (1997)
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[Publications] Tachibana H., et al: "Discordant ST alternans contributes to formation of ve-entry" American Journal of physiology. (発表予定). (1998)