1998 Fiscal Year Annual Research Report
ST alternans現象を用いた心室細動の発生機序の解明と発生確率の定量的評価
Project/Area Number |
09670690
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
白壁 昌憲 山形大学, 医学部, 助手 (10241697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 幸雄 山形県立保健医療短期大学, 助教授 (10250945)
八巻 通安 山形大学, 医学部, 助手 (40191217)
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Keywords | 主成分分析 / 心室細動 / 抗不整脈薬 / フレカイニド |
Research Abstract |
【目的】 正常心で興奮伝播過程が真に定常的であるのか、I群抗不整脈薬投与により興奮伝播を遅延させたとき興奮伝播過程の定常性が変化するか、もし変化するなら心室性不整脈発生との関連はどうかについて検討する。 【方法】 麻酔開胸犬18頭を用い心周期400msで右房ペーシングを施行し、心表面60点より単極誘導心電図を記録した。左冠動脈末梢より生食、低濃度及び高濃度のI群抗不整脈薬(flecainide 10, 100μg/kg/min;lidocaine 0.12,0.60 mg/kg/min; disopyramide 20,200μg/kg/min)をそれぞれ10分間注入し経時的に計測を行った。心拍毎の興奮伝播到達時間の変動は主成分分析を用いて検討した。変動がなければ第一主成分(定常性成分)が100%となり、他の成分は0%となる。【結果】 コントロール時:第一主成分得点は97.8±0.6(mean±SD)%(n=18)であり、興奮伝播過程は平均2.2%の変動成分を含んでいた。第二主成分は交互脈的に出現する変動成分で主成分得点は0.5±0.5%であった。2)I群抗不整脈薬投与時:第一主成分得点はflecainide投与で低濃度97.7+0.3%、高濃度96.7±0.8%(*)と減少した(*P<0.05)。lidocaine投与(低濃度98.3±0.4%、高濃度98.0±0.8%)及びdisopyramide投与(低濃度97.6±0.9%、高濃度97.6±0.9%)では有意な変化を認めなかった。また第二主成分はflecainide投与で低濃度0.5±0.3%、高濃度1.5±1.0%(*)と増大した。lidocaine投与(低濃度0.2±0.1%、高濃度0.4±0.1%)及びdisopyramide投与(低濃度0.6±0.8%、高濃度0.6±0.8%)では有意な変化を認めなかった。3)交互脈的に出現する第二主成分はflecainide投与でのみ有意に増大し心室細動が出現した。【総括】 主成分分析を用いることで興奮伝播過程の非定常性を証明した。非定常成分には交互脈的に出現する第二主成分が含まれた。flecainideは特異的に興奮伝播過程の非定常成分(第二主成分)を増大させ、心室細動を発生させた。興奮伝播過程の非定常性は不整脈発生の新たな基質であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)