1998 Fiscal Year Annual Research Report
心不全における末梢血管平滑筋のギャップ・ジャンクション機能の検討-特にアドレナリン受容体反応と関係-
Project/Area Number |
09670765
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 日本医科大学, 医学部, 助手 (70291721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 孝雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (30152010)
木内 要 日本医科大学, 医学部, 助手 (50260972)
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Keywords | 心不全 / アドレナリン受容体 / 左心室機能 / 末梢血管 / ギャップ・ジャンクション |
Research Abstract |
高頻度ペーシングによる慢性心不全モデルを用いて上記研究を施行しているが最終的な結果がでるのに今年いっぱいの期間を要すると思う。一方、並行して行ったいた同モデルをもちいての研究については、以下の2つの結果を得たので報告します。 (A)【目的】心臓神経が、心不全の進展過程で安静時左心室機能及びβ-アドレナリン受容体刺激に対する反応の変化に果たす役割を検討。【目的】雑種成犬18頭を、外科的心臓除神経を行った群(n=8)と正常群(n=10)に分け、右心室ペーシング(240/分)前、1日後、1週間後、及び4週間後に安静時左心室機能及びβ-アドレナリン受容体刺激に対する反応を調べ両群間で比較検討した。【結果】(1)心不全進展過程において、心臓除神経群は、正常群に比して後負荷-心筋収縮速度(Vcfc)関係が良好であり、左室dP/dtの低下(正常群:-1486±178,心臓除神経群:-950±170mmHg/秒,p<0.05)は、有意に少なかった。(2)イソプロテレノール(0.4μg/kg/min)によるβ-アドレナリン受容体刺激に対して、正常群は左室dP/dtの上昇が、前に比して有意に低下(前:+165±15%,4週後:+72±10%、p<0.05)したのに対して、心臓除神経群では低下しなかった(前:+205±19%,4週後:+198±23%)。ただし、血中ノルアドレナリン濃度は両群で4週後に有意に上昇し、両群間で差は認められなかった。【総括】慢性意識下雑種犬の心不全の進展過程において、心臓神経は安静時左心室機能及びβ-アドレナリン受容体刺激に対する反応の変化に重要な役割を果たしていることが示唆された。 (B)【目的】心不全において、カテコラミンに対する感受性が低下することは良く知られている。しかし、近年急性心不全の治療薬として用いられているホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬の脱感作についての報告はない。従って、慢性心不全モデルを用いて、その程度とメカニズムについて検討した、【方法】雑種成犬7頭を用いて、動脈圧、左房圧、左室圧測定のためのカテーテル、ゲージを留置後、ペーシング前でミルリノン(5,10,20μg/kg/min)に対する心拍数、左室収縮能を評価後、3-4週間のペーシング後同様な実験を行った。更に、心不全と正常心筋での心筋内cAMP,PDE活性を測定した。【結果】ペーシング前は左室dP/dtの増加は+1550±107mmHg/sであったが、後は+615±67mmHg/sと有意に低下した。一方、心筋内cAMPは、心筋内膜側で-26%、心筋外膜側で-14%と低下。PDE活性は、心筋内膜側で-18%、心筋外膜側で-4%と低下した。【総括】このように、ホスホジエステラーゼ阻害薬は心不全の進展過程で脱感作され、そのメカニズムの一部は心筋内cAMP,PDE,活性の低下が関与していることが示唆された。
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