サイトメガロウイルス胎内感染の出生前診断および早期診断に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09670822
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Sapporo Medical University
• Principal Investigator: 沼崎 啓 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00228272)
• Keywords: サイトメガロウイルス / 胎内感染 / サイトカイン

Research Abstract

サイトメガロウイルス(CMV)は胎内感染および周産期感染の因子としては最も一般的なものであり、典型的なCMVの胎内感染、特に妊娠中の初感染による経胎盤感染では巨細胞封入体症(CID)として知られる症状が出現し、予後は不良なことが多い。胎内感染のスクリーニングおよび早期診断は胎児・新生児の予後において重要である。本研究においてはCMV胎内感染妊婦における血清中のサイトカインの変動およびウイルスゲノムの発現について検討するとともにこれらの出生前診断への応用の可能性に関して検討を加えた。札幌市内において分娩した妊婦の妊娠10週および20週の血清を保存した。これらの妊婦より出生した新生児の尿より組織培養にてCMVの分離を試みた。ウイルス尿の結果より先天性CMV感染患児と診断された児の臍帯血も採取した。現在までのところ新生児7,995名中先天性CMV感染症と診断されたものは31(0.39%)例でこの内の28例は出生時無症状であった。採取した血清清成分からPolymerase chain reaction(PCR)法を用いてCMV IE DNAの検索を行い、抗CMV血清抗体価をあわせて測定した。また母親の血清中のsoluble IL-2 receptor(sIL-2R)、IL-4、TNF-α、IFN-γなどのサイトカイン値をELISA法を用いて測定した。CMV胎内感染患児6例の母親の妊娠10週および20週の血清で抗CMV lgG抗体価の有意な上昇は3例で認められた。特異的lgM抗体の上昇は1例でのみ認めた。CMV IE DNAは妊娠中の血清よりは検出されなかったが、1例で新生児の臍帯血血清より検出された。IFN-γ活性は6例全例の妊娠中の血清より検出された。妊娠10週および20週での血清sIL-2R活性の上昇は4例で認めた。以上の結果より、妊娠中のCMVの初感染および再活性化による胎内感染の成立に際してはsIL-2RおよびIFN-γなどの血清サイトカイン値の変動も認められることが明らかになった。

Research Products

• [Publications] Numazaki K,Asanuma H,Chiba S.: "Relationship between cytokines and human cytomegalovirus infection of breast milk." J.Infect.Chemother.3. 58-61 (1997)
• [Publications] Numazaki K,Ikehata M,Chiba S.: "Role of cytomegalovirus in Menetrier disease in children." J.Pediatr.130. 681 (1997)
• [Publications] Numazaki K,Chiba S.: "Cytomegalovirus infection and restenosis." Stroke. 28. 1088-1090 (1997)
• [Publications] Numazaki K.: "Cytomegalovirus as pulmonary pathogen." Chest. 112. 860-861 (1997)
• [Publications] Numazaki K,Ikehata M,Yanai S,et al.: "Adoptive immunotherapy for interstitial pneumonia associated with cytomegalovirus infection." Clin.Infec Dis.25. 1246-1247 (1997)
• [Publications] Numazaki K,Chiba S.: "Cytomegalovirus infection and Guillaine-Barre syndrome." Neurology. 49. 1472-1473 (1997)