1998 Fiscal Year Annual Research Report
小児神経系腫瘍の発生機序ならびにその遺伝子治療に関する実験的研究
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09670841
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松島 宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70190460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 二郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40246369)
浜野 晋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80208595)
中江 陽一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40188876)
前川 喜平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80056613)
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Keywords | 小児脳腫瘍 / 神経芽細胞腫 / 神経成長因子 / 神経成長因子受容体 / 遺伝子治療 / 分化誘導 |
Research Abstract |
NGFおよび、その受容体(NGFR)からなるシグナル伝達系は神経細胞の分化・成長・維持に重要な役割を果たす。これまで我々はNGF受容体の研究を行ってきた過程において、本来NGFRを発現しない未分化神経細胞内に、in vitroにおいてNGFR遺伝子を導入することによって、細胞表面上に機能的NGFRが構築され、NGF投与に引き続いて神経芽細胞をDNA合成の停止を伴う最終分化へと誘導できることを明らかにした。今回、我々は未分化神経細胞に由来する小児神経系腫瘍に人為的にNGF/NGFRカスケードを構築することによって、腫瘍細胞の分化誘導療法が可能なのではないかとの仮説を立て、これを証明する目的で研究を行った。 研究成果:1.神経系腫瘍におけるNGF/NGFRカスケードの存在;小児神経芽細胞腫、脳腫瘍の生検材料から樹立した培養系につきの神経栄因子および受容体の、mRNA発現を検討した。神経芽細胞腫株ではp75及びtrkAは種々の程度で発現していた。さらに各種神経栄養因子を投与した際のシグナル伝達路中間体の活性化の有無を検討したところ、腫瘍細胞においても、機能的NGF/NGFRカスケードが存在していた。 2.NGF受容体遺伝子のin vitroにおける細胞内への導入;NGF受容体(trkA)cDNA発現ベクターを我々の樹立した内因性NGFRを発現しない神経系腫瘍株(HTLA230あるいはB104細胞)へ導入し、機能的NGF/NGFRカスケードがin vitroで構築されることを確認した。 3.in vivoでの分化誘導;trkAcDNA導入細胞をヌードマウスの一側側腹部皮下に移植した後、反対側側腹部皮下にNGFを5日間連続投与した。未分化神経細胞は形態学的分化と同時に各種の分化マーカーを発現した。このことは神経栄養因子受容体が神経系腫瘍のin vivoでの分化誘導療法に応用できることを意味する。
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Research Products
(1 results)