1997 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全患者におけるガドリニウム造影剤の安全性及び、透析による除去能に関する研究
Project/Area Number |
09670961
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岡田 進 日本医科大学, 医学部, 助教授 (00194358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隈崎 達夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (10089675)
田島 なつき 日本医科大学, 医学部, 講師 (80188242)
|
Keywords | MRI / ガドリニウム造影剤 / 腎不全 / 血液透析 |
Research Abstract |
MRIに用いられるガドリニウム造影剤の透析患者における安全性と、透析による除去能について検討するため、基礎的検討と臨床的検討を行った。基礎的検討として、ガドリニウム造影剤15mlを生理食塩水5リットルで希釈した潅流液を作製し、血液透析器を用いて潅流した。ガドリニウム造影剤としてはイオン性造影剤のGD-DTPAと非イオン性造影剤のGD-D03Aを用いた。透析膜には古典的なセルロース膜・新しい高性能膜であるPMMA膜・陰性の膜電化を持つ膜(AN69)の3種類を用いた。経時的に潅流液からサンプルを採取して、ガドリニウム濃度を定量した。同一の造影剤では各々の膜による透析能の差は少なかったが、GD-DTPAとGD-D03Aを比較すると、GD-D03Aのほうが若干良好だった。特に、膜電荷を持つ膜ではこの差が明瞭で、このような特殊膜ではイオン性造影剤と非イオン性造影剤の透析能の違いが示された。2コンパートモデルによるコンピュータ解析による生体でのシミュレーションにより、97%の造影剤を排泄するためには、約15時間が必要と考えられた。次に、臨床的検討として、透析患者にガドリニウム造影剤を投与し、透析前後のガドリニウム濃度を調べた。各々の膜による差は少なく、最初の4時間で約75%が排泄され、97%の排泄には約16時間が必要であった。また、副作用は認めなかった。これらの検討から、各々の造影剤が通常の透析方法で良好に排泄されることが確認された。副作用もみられなかったため、これらの造影剤は透析患者においても安全に使用できると考えられた。
|