1997 Fiscal Year Annual Research Report
健常老年者における定量解析脳波事象関連電位を用いた精神生理機能の前方視的研究
Project/Area Number |
09671001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
中野 隆史 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (20095037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊規 獨協医科大学, 医学部, 助手 (00285884)
金森 良 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60271227)
斉藤 治 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00153792)
大森 健一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00049165)
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Keywords | 定量解析脳波 / 事象関連電位 / 健常老年者 / 老化 |
Research Abstract |
平成9年6月から平成10年2月にかけて、シルバ-大学に通う健常老年者76名に対して、定量脳波、事象関連電位、Continous Performance Test、KN式VST、脳CT、知的機能検査(Mini Mental State Examination-以下MMS、Bender-Gestalt Test-以下BGT)、精神医学的面接などを施行した。これまでに解析の終了した検査結果の一部をまとめると下記のようであった。BGTの成績により対象を成績上位群と下位群とに分けた場合、事象関連電位のうちP300頂点潜時が成績上位群に比して成績下位群で脳全域において有意に長いことが認められた。また、MMSの成績により対象を成績上位群と下位群に分けた場合、定量脳波のうち周波数の早いθ並の出現率が成績上位群に比して下位群で前頭部および頭頂部で有意に多いことが認められた。今回の対象はMMS得点が26点から30点と幅があるものの、日常生活、精神医学的面接においては痴呆を疑うような所見はなく、社会生活においては活動的な者が多かった。認知機能においてもごく軽度の主観的な認知機能の低下を自覚する者がわずかに認められるのみであった。以上より、今回の対象には、その精神機能が健常若年成人と変わらない者から、年齢相応の変化が始まっている者までが含まられていると考えられ、このため精神生理学検討による差が認められたと考えられる。すなわち、健常老年者のなかにも痴呆に認められる変化と同方向の神経生理学的変化が始まっている者が含まれている可能性が示唆された。しかし、現段階ではこれらの変化がすぐに痴呆へとつながっていくものかは不明であり、年齢相応から痴呆への境界状態、さらに痴呆へと移行していく過程について、さらに今後3年間、同一対象に付いて追跡していく予定である。
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Research Products
(1 results)