1997 Fiscal Year Annual Research Report
副腎アンドロジェンのインスリン抵抗性改善作用に関する基礎的並びに臨床的研究
Project/Area Number |
09671066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
関原 久彦 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80126094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆明 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (70168392)
佐藤 忍 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (80244424)
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Keywords | 副腎アンドロジェン / DHEA / インスリン抵抗性 / インスリン / GLUT4 / 糖新生 |
Research Abstract |
我々は、加令によるインスリン抵抗性の増加を副腎アンドロジェンであるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)が改善すること、糖尿病(db/db)マウスを用いた検討から、db/dbマウスの過血糖の成因として、インスリン抵抗性の増加が考えられ、DHEA投与により、このインスリン抵抗性が改善されることを報告して来た。さらに臨床的にも高インスリン血症を有する糖尿病患者においては血中DHEAが低下していること、グ-ルコースクランプ法により血中インスリン値を上昇させると血中DHEAが低下し、血中インスリン値とDHEA値との間には、シ-ソ-の関係のあることを報告した(Clinical Endocrinology,in press)。 さらにインスリン標的臓器に焦点をあて、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の血糖低下作用、インスリン抵抗性改善作用に関し以下の実験をおこなった。db/dbマウスの脂肪細胞においては糖輸送担体GLUT4の細胞内プールが低下し、糖輸送活性におけるインスリン用量反応曲線では最大刺激による低下とともに右方移動しインスリン抵抗性が認められた。DHEA投与によりdb/dbマウスではGLUT4の細胞内プールの増加し、糖輸送活性におけるインスリン効果はV_<max>の増加でKm値は変化していなかった。インスリン情報伝達系の分子の検討ではinsulin receptor substrate-1のリン酸化が改善し、PI3-kinase活性が上昇していた。さらに肝臓の解糖系、糖新生系の酵素活性の効果からDHEA投与によりdb/dbマウスでは糖新生系が抑制され、肝臓のインスリンによる糖放出抑制作用を改善させていることが示唆された。今後、GLUT4の細胞内プールの増加作用に関しDHEAによるGLUT4遺伝子の転写活性調節、肝臓の解糖系、糠新生系、グリコーゲン調節系におけるDHEAの作用機序について研究を進める。
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