1997 Fiscal Year Annual Research Report
外科的侵襲反応軽減を目的とする生体反応の解析と制御に関する研究
Project/Area Number |
09671274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 講師 (20192106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
佐山 淳造 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292322)
織井 崇 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20282048)
土井 秀之 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90188839)
宮崎 修吉 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282075)
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Keywords | ステロイド / ストレスホルモン / サイトカイン / 侵襲 / Meeylprednisolone / マクロファージ |
Research Abstract |
術前にステロイドを少量投与ことによって、ストレスホルモンの分泌が激減し、水分電解質代謝や呼吸循環動態が安定し、窒素出納が良好で、周術期管理が容易になる。サイトカインの動きをみると、侵襲局所の胸水や腹水中のIL-1やTNFの産生が少なく、また血中のIL-6,IL-8,G-CSFなどの上昇も著明に軽減していた。 術前の少量のステロイドの投与によって侵襲に対する生体反応を著明に軽減し、侵襲反応をModulateしうることが明らかで、肝一葉を切除するマウス侵襲モデルを作成し、サイトカイン分泌の抑制という観点からステロイドの効果を検討した。 マウス侵襲モデルにおいて、IL-6の上昇が腹水、血中にみられ、1mg/マウスのMetylprednisoloneによってIL-6の上昇が腹水、血中ともに著明に抑制された。一方、抗炎症性のサイトカインといわれるIL-10の産生はステロイド前投与群の方が高かった。 投与時期は、侵襲前1時間前が最も効果的であり、投与量は、1mg/マウス(ヒトで250-500mg/bodyに相当)であった。 肺胞マクロファージのIL-1αやTNFαの産生は侵襲で上昇するが、ステロイドを前投与で上昇しない。腹腔細胞を採取してみると侵襲後60分は空砲化し、マクロファージが活性化している像が得られ、腹腔マクロファージは減少し顆粒球は経時的に増加し、侵襲局所への腹腔マクロファージの集積が起こる。ステロイドの前投与はこの侵襲直後の腹腔マクロファージの局所への遊走と活性化を少なくし、顆粒球の集積を少なくする。また、マクロファージを枯渇させるとこのようなサイトカインの上昇はみられず侵襲反応も起こらない。局所サイトカインの産生を微小透析法でみると1時間以後に産生されることから、サイトカインを中心とした反応は数十分単位の反応であり,マクロファージを局所に遊走させ活性化し、サイトカインを産生させる機序の解明が今後必要である。
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