1998 Fiscal Year Annual Research Report
X染色体不活化を用いた胃粘膜のクローナリティーの解析及び前癌病変の同定
Project/Area Number |
09671284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上西 紀夫 東京大学, 医学部・附属病院分院, 教授 (30126031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 伸幸 東京大学, 医学部・附属病院分院, 医員
野村 幸世 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (70301819)
山口 浩和 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (00242149)
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Keywords | 胃 / 胃癌 / クローナリティー / 胃腺管 / X染色体不活化 / 前癌・病変 / X染色体メチル化 / 腸上皮化生 |
Research Abstract |
当初の予定通り、胃粘膜より腺管ごとの細胞を実体顕微鏡下に採取しようと試みたが、実体顕微鏡下で完全に間質を除去するのは不可能であり、クローナリテイ・マップを作成することは困難を究めた。そこで、EDTAを用いて、単一遊離腺管を作成し、ここより抽出したDNAを用いて、腺管のクローナリテイを検索した。その結果、今まで、単一腺管はモノクローナルであると考えられてきたが、胃底腺管では少なくともその約40%が、幽門腺管では少なくともその約7%がポリクローナルであることがわかった。また、腸上皮化生腺管ではその組織型、発生部位にかかわらず少なくともその約50%がポリクローナルであり、モノクローナルに拡大している前癌病変であろうという予想は大きくくつがえされた。 そこで、同様のX染色体不活化を用いて組織切片上でクローナリテイを見ることはできないか調べた結果、それができるトランスジェニックマウスがメルボルン大学に存在することがわかった。これを入手し、正常胃粘膜のクローナリテイを調べたところ、以前、我々がヒト胃粘膜を用いて報告した結果と同様にマウス胃粘膜にもポリクローナルな腺管が存在することがわかった。また、ある程度の広がりを持った、モノクローナルな腺管の集合(パッチ)が存在することがわかった。このモノクローナルパッチは正常マウスの成長、発達段階において胃粘膜の拡大とともに拡大してくることがわかった。このマウスに発癌剤を投与したが、このパッチに拡大は認められなかった。
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[Publications] S Nonwa,M Kaminishi,K Sagiyama,T Oohara,H Esumi: "Clonal analysis of isolated intestinal metaplastic glands of stomach using X linked polynor phism." GUT. 42. 663-668 (1998)
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[Publications] 野村幸世,櫻澤信行,江角浩安: "X染色体連鎖human androgen receptor (HUMARA)遺伝子を用いた大腸腺腫と腺癌のクローン性の解析" 病理と臨床. 16. 57-63 (1998)
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[Publications] 野村幸世,上西紀夫,立道昌幸: "胃粘膜腸上皮化生単一腺管の胃粘膜面よりの同定法" 消化器癌の発生と進展. 9. 259-264 (1997)
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[Publications] 野村幸世,立道昌幸,上西紀夫: "胃粘膜腸上皮化生の胃粘膜面よりの同定法及びその機序の解明" 消化器癌の発生と進展. 10. 351-356 (1998)
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[Publications] Sachiyo Nomura,Hiroyasu Esumi Christorher Job,Seang-Serg Tan: "Lineage and Clonal Development of Gastric Glands" Developmental Biology. 204. 124-135 (1998)