1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名川 弘一 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80228064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐崎 祥一 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
菅野 純夫 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60162848)
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Keywords | 可溶型受容体 / TGF-β / 転移抑制 |
Research Abstract |
平成11年度はMC1SRIIの造腫瘍性と培養上清に含まれる可溶型受容体の腫瘍発育阻止能を検討した。 1.まず可溶型TGF-β受容体を発現する細胞株は造腫瘍能が減弱するはずであると考え、平成10年度に再クローニングしたMC1SRIIをマウスの腹部皮下に接種したが、MC1SRIIも造腫瘍能を失ってはいなかった。また増殖速度についてもMC1Neo及び親株MC1と同程度で有意な差は認めなかった。 2.MC1SRIIの培養上清には可溶型TGF-β受容体が豊富に含まれることから、この培養上清を親株MC1の培養液に加えMC1にMC1SRIIに見られるような形態変化が生じるか検討した。しかしMC1SRIIの特徴である細胞の大型化や極性をもった増殖は認められなかった。また重なり合って増殖する性質の消失は認められず多数のコロニーを形成して増殖した。 3.MC1SRIIの転移形成能が消失するか検討するためにマウスの尾静脈からMC1SRIIを静注したところ、マウスは全例死亡した。MC1Neo及び親株MC1と比較して生存期間の延長は認めなかった。 4.最後に可溶型TGF-β受容体の転移阻止能を検討した。親株MC1をマウスの尾静脈に静注した翌日に、濃縮されたMC1SRII及びMC1Neoの培養上清を尾静脈から静注し、生存期間の延長があるか検討した。結局、生存期間の延長は見られず全例死亡した。 以上の結果からは可溶型TGF-β受容体の転移抑制能は証明することはできなかった。しかし可溶型TGF-β受容体を発現した腫瘍細胞に、良性化と思われる形態変化がin vitroで観察されたことは間違いない事実であり、上記2で可溶型TGF-β受容体の濃度を上げることができれば形態変化を生じさせることができた可能性は残る。今後TGF-β自体の転移形成における役割がさらに明瞭にされることが必要であろう。
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