1997 Fiscal Year Annual Research Report
触覚センサーを用いたリアルタイム心筋保護効果判定の研究
Project/Area Number |
09671364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 修 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30251309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 鑑 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40281703)
今中 和人 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80282672)
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Keywords | 触覚センサー / stiffness / 心筋 / 心筋保護 |
Research Abstract |
触覚センサーは、物体はその硬さ(stiffness)に応じた固有振動数を持つことから、固有振動数の測定によって物体の硬さを知ることを可能にした手法である。心臓外科領域において、心虚血時間中に心筋保護が適切かどうかは非常に重要な問題である。心筋保護不良であった心臓は非常に硬くなることが知られているが、この変化は大動脈遮断中から始まっている可能性がある。そこで本年は、雑種成犬で、全身麻酔下、大腿動脈送血、右心房脱血にて人工心肺を開始。25℃で大動脈遮断、心筋保護液を、120-150mmHgで注入。大動脈遮断を120分間行い、左心室自由壁で10分毎に心筋の硬さを触覚センサーを用いて測定した。A群:(3頭)大動脈遮断直後にSt.Thomas液20ml/Kgを注入。B群:(3頭)大動脈遮断直後にSt.Thomas液20ml/Kgを注入後、30分毎に10ml/Kgを追加注入。 【結果】A群では心筋保護液注入後、20分後までは硬さに殆ど変化がないが、そこから50分後にかけて徐々にstiffnessが上昇し、それ以降はほぼplateauに達した。ただし、その傾向は同一ながら、硬さの数値としては犬ごとの差が大きい。baselineからみたplateauの硬さは、約2倍であった。一方、B群では、20分後まではやはり硬さの変化はなく、そこから30分後にかけて若干硬さが上昇する。そして心筋保護液注入によって一気に約2倍の硬さを呈するが、以降、指数関数的に硬さは低下して、追加注入後20分後、30分後は最初のbaselineとほぼ同じ硬さに戻り、それ以降は心筋保護液追加注入直後に同様に硬くなって、20分程でbaselineに戻ることを繰り返す。B群においても、傾向はともかく、硬さの数値としては犬ごとの差が大きい。 問題点として、早期に心室細動に移行するケースがあり、extracoronary collateralが多いためかと思われるが、犬ごとのばらつきの原因である可能性がある。
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