1999 Fiscal Year Annual Research Report
ステント植え込みにおける血管内膜増殖に関する実験的研究
Project/Area Number |
09671386
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星野 俊一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60045630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐戸川 弘之 福島県立医科大学, 心臓血管外科, 助手 (70226025)
猪狩 次雄 福島県立医科大学, 心臓血管外科, 講師 (50045796)
岩谷 文夫 福島県立医科大学, 心臓血管外科, 助教授 (90045758)
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Keywords | 閉塞性動脈硬化症 / バルーン拡張型ステント / Palmaz stent / 新生内膜 |
Research Abstract |
閉塞性動脈硬化症の治療に用いるバルーン拡張型ステントであるPalmaz stentを用いた動物実験から以下の結果及び知見を得た。(方法)12頭の雑種成犬(体重11.5kg〜15.3kg、平均12.8±2.5kg)を用い、バルーン傷害を加えない群(N群,6頭)及びバルーン傷害群(B群,6頭)に分類した。血管内エコー(IVUS)による計測から、同一犬に血管内径に等しい径のPalmaz stentを留置したJ側と、内径の約1.35倍のステントを留置したL側のモデルを作製した。抗血小板剤は投与せず、留置後4週及び12週にIVUSにより生じた新生内膜を観察、計測後に宿主血管と共に摘出し、H-E染色、抗α-actin抗体染色での組織学的検討を行った。(結果)IVUSで全てのステント内腔側に新生内膜を認めた。血管内腔面積の減少は新生内膜によるものであった。N群の新生内膜面積は、B群のバルーン傷害の場合より大であり、J側及び12週における新生内膜はそれぞれL側、4週よりも大きい傾向を認めた。ストラット上の新生内膜は、B群、J側で厚かった。Injury scoreはB群、L側で大きい値を示した。Inflammation scoreは全体にほぼ一定の値を示した。ストラット周囲の新生血管数は、留置後12週では4週に比較して有意に増加していた。新生内膜単位面積当たりの血管平滑筋細胞数は、留置後4週では内弾性板側に比較して血管内腔側で有意に多かった。留置後12週においても血管内腔側で多い傾向を認めた。(結論)ステント留置に先行するバルーン傷害は、新生内膜肥厚を助長する可能性が示唆された。血管径の約1.35倍のステント留置による血管壁の過拡張は、内膜肥厚を促進する因子となるが再狭窄率としては低下するため、遠隔成績向上につながる可能性を示唆した。ステント留置後の新生内膜肥厚や炎症反応には、ステントによる血管壁傷害以外の要因が作用する可能性を示唆した。ステント留置後に血管内腔側で主に認めた新生内膜肥厚の反応は、留置後12週には新生内膜深部にも認められた。
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