肺高血圧症を伴う末期的心不全に対する心片肺移植法の確立

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671396
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 北村 昌也 新潟大学, 医学部, 助教授 (90183300)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 羽賀 学 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員 ; 渡辺 健寛 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員 ; 土田 正則 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (60293221)
• Keywords: 心片肺移植法 / 肺高血圧症 / 右心不全 / 移植右心機能 / 移植肺機能 / 右室圧-面積関係 / 肺動脈抵抗 / 病理組織学的所見

Research Abstract

本年度は肺高血圧下の胸腔内心片肺移植モデルにおける手術後早期の肺循環および末期的心不全の評価を継続した。血中にフィラリアのいない子犬6組を用いて、実際の臨床と同様に、ドナー、レシピエントの全身麻酔及び手術を同時に行い、レシピエントの体外循環開始に合わせて、ドナー心肺の摘出を行い、摘出後保存中に左肺を切離した。レシピエントの右肺を取り出した後に、移植臓器保護下に胸腔内心片肺移植を行った。心拍・肺換気再開し循環動態・呼吸状態が安定した後に体外循環から離脱した。全身循環、肺循環の血行動態が安定したところで、レシピエントの自己左肺の動脈を徐々に結紮して肺高血圧症モデルとした。さらにレシピエント心の右冠動脈を部分的に結紮して右心不全モデルとした。移植心機能の評価は、右室では圧-面積関係から解析した。移植肺機能の評価は、移植肺のX線所見、血液ガス分析などから行った。本移植手術は全例特に問題なく行われ、左肺動脈の結紮により、肺動脈抵抗は平均で前値の約2倍となった。血行動態及び心エコー検査からみると、移植心の右室機能は保たれ、レシピエントの不全右室を補助しており、循環動態は安定していた。呼吸機能では、移植肺の血液ガス等は良好であった。病理組織学的所見では、移植心は、特に虚血、出血などは認められず、ほぼ正常の所見であった。移植肺では、小血管周囲に浮腫がみられるものの、肺胞構築はよく保たれていた。