1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671458
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
福島 武雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10078735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝長 正道 福岡大学, 医学部, 教授 (00078784)
山本 正昭 福岡大学, 医学部, 講師 (80240125)
木村 豪雄 福岡大学, 医学部, 助手 (00279267)
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Keywords | brain tumor / ultrasound / sonodynamic approach |
Research Abstract |
脳腫瘍に対ずる音響化学療法の臨床応用を目的として、正常脳組織に及ぼす音響化学反応の影響および実験脳腫瘍モデルを用いた治療効果について検討を行なった。 1) 正常ラット脳組織において、集束超音波照射またはローズベンガル+超音波照射併用により大脳深部に破壊巣が形成された。破壊巣の形成率は、超音波の強度と照射時間に比例した。2)破壊巣の組織所見は主として凝固壊死巣であった。また破壊巣は基底核を中心に比較的限局しており、境界は明瞭であり超音波の焦域に一致した。ローズベンガル+超音波併用群では、超音波単独群と比較して破壊巣の拡大と出血巣の増加がみられた。3)破壊巣の形成機序どして、超音波照射中に脳内温度か著明なに上昇したことより主として超音波の熱作用によるものと考えた。しかしローズベンガル+超音波併用群にみられた破壊巣の拡大については、脳内温度の上昇に差がないことから、熱的作用のみでは説明されずキャビテーションの関与が示唆された。4)さらにローズベンガル+超音波併用群では、超音波単独群に比較してエバンスブルーの漏出の拡大がみられた。破壊巣拡大に伴うエバンスブルーの漏出の拡大に加え、音響化学的に血掖脳関門の開放増強効果の可能性も考えられた。5)強度100w/cm^2、5分間の超音波照射により照射後に1時間で破壊病巣は形成されており、以後24時間まで病巣の拡大はなかった。また慢性期は強度25w/cm^2、5分間の超音波照射後2ケ月目まで追跡したが、明らかな破壊巣および脱髄はなく安全な照射域値と考えた。6)実験脳腫瘍モデルに対ずる音響化学療法の効果については、超音波単独群では腫瘍の形態は紡垂状から三日月状となり、超音波焦域での腫瘍の縮小効果が示唆された。さらにローズベンガル+超音波併用群では、腫瘍の大きさは超音波単独群に比べさらに縮小しており、音響化学療法の有用性が示唆された。 音響化学療法は脳腫瘍に対する新しい治療アプローチとして、残存腫瘍に対する術中照射などの臨床応用が可能と考えた。
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