1998 Fiscal Year Annual Research Report
下肢における皮弁・筋皮弁の長期成績と開発および大網弁、筋弁の創傷治癒に及ぼす影響
Project/Area Number |
09671484
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥居 修平 名古屋大学, 医学部, 教授 (60115607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西関 修 名古屋大学, 医学部, 医員
亀井 譲 名古屋大学, 医学部, 講師 (10257678)
長谷川 隆 名古屋大学, 医学部, 講師 (50281069)
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Keywords | 皮弁 / 筋皮弁 / 下肢 / マイクロサージャリー / 大網 / 骨髄炎 / 難治性潰瘍 |
Research Abstract |
大網の創傷治癒におよぼす影響を知るために、まず大網のlipid fractionの作用を皮弁を使用して研究した。その結果皮弁の生着面積を拡大した。組織学的には著明な血管の拡張と創傷面での血管新生を認めた。われわれは大網を心臓手術後の創感染、下肢の骨髄炎に多用し成果をあげている。大網の感染創に対する影響として44例の心臓手術後の創感染に大網で治療し、37例で完治し、有効な治療法であった。そのなかにはMRSAが半数を超していたが、危険因子は血液透析と呼吸器を要した患者であった。大網、筋弁の採取に少しでも侵襲の少ない方法として内視鏡を利用した方法を工夫している。従来の方法と比べて少し時間がかかるが、患者の術後の疼痛、回復の点で優れている。左側まで大きく採取するには困難であった。また広背筋弁、腹直筋弁などの採取にも経験と工夫を要したが、有用であった。下肢における皮弁・筋皮弁を要する疾患に開放骨折、骨髄炎、糖尿病性壊痘、二分脊椎患者の足底潰瘍などがある。二分脊椎患者の難治性の足底潰瘍治療の長期成績より他の方法に比べて内側足底皮弁の有用性が証明された。糖尿病性難治性潰瘍に対してわれわれはアルゴリズムを確立し良好な成績をあげている。下肢に利用される遊離皮弁の種類はさまざまであるが、われわれは大網のユニークな特徴を活用して下肢にも多用して良好な成績をあげている。最近の3年間の下肢への遊離皮弁は35例であり、そのうち11例が大網である。大網は感染に強く、長い血管茎が得られ、薄くて広範囲を被覆できる。
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[Publications] Tohru Takada: "Effect of omental lipid fraction on enhalancement of skin flap survival" Ann.Plast.Surg.41.1. 70-74 (1998)
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[Publications] Kenzo Yasuura: "Results of omental flap transposition for deep sternal wound infection after cardiovascular surgery" Ann.Surg.227. 455-459 (1998)
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[Publications] 加藤久和: "下肢糖尿病性潰瘍の病態と治療" 形成外科. 41.4. 317-328 (1998)
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[Publications] 亀井 譲: "筋弁移植術への内視鏡下手術の応用" 内視鏡外科. 3.3. 216-221 (1998)
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[Publications] 鳥山和宏: "二分脊椎に合併した足底部潰瘍の治療" 形成外科. 41.4. 329-336 (1998)
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[Publications] 梅本泰孝: "遊離広背筋穿通皮弁の経験" 日本マイクロサージャリー学会誌. 11.2. 123-130 (1998)