1997 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症進展におけるガスメディエーターと線溶系因子
Project/Area Number |
09671527
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
菊池 啓 近畿大学, 医学部, 講師 (10195208)
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Keywords | 軟骨組織 / メカニカルストレス / 線溶 / ガスメディエーター |
Research Abstract |
平成9年度の計画に従い,人工膝間節置換術施術の変形性膝関節症患者(OA)8例と末梢血行障害のため大腿切断された患者(C)3例より,同意を得たうえで軟骨組織(荷重部:WS,骨棘部:OS)を採取し,下記の結果を得た. (1)Zymogramで線溶活性を測定した.Fibrin autographyで全サンプルに55KD,33KDのuPA活性とreversed fibrin autographyでは50KDのPAI-1活性を認めたが,tPA活性は得られなかった.uPA活性強度はWS>OS≒C,PAI-1活性強度はOS>C>WSを示し,部位と疾患により差異を認めた. (2)ELISA-kitを用いた両抗原量の測定で,平均uPA抗原量はWSで3.1ng/mg,OSで1.3ng/mg,Cで1.2ng/mg,平均PAI-1抗原量はWSで33.0ng/mg,OSで145.1ng/mg,Cで95.1ng/mgを示し,活性と同じ結果を得た. (3)Northern blot解析によるuPAmRNA発現はWSは100%,OSは86%,Cは67%PAI-1mRNA発現はWSは100%,OSは86%,Cは67%を示し,部位と疾患により差異を認めた. (4)メカニカルストレスにより両抗原量は増加し,uPA抗原量はWSで4.6倍,OSで1.7倍,Cで2.4倍,PAI-1抗原量はWSで4.3倍,OSで1.5倍,Cで2.0倍を示し,部位により差異を認めた. 今後これらのサンプルを用いてガスメディエーターである一酸化窒素や活性酸素を測定する.さらに治療に用いられているヒアルロン酸の線溶系因子とガスメディエーターに対する効果を検討することや,動物モデルでの関節症進展経過における線溶系因子とガスメディエーターを測定することで,変形性関節症進展を抑制する機構の一部が解明される.
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