1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血耐性獲得に要する刺激強度と各種薬剤の修飾作用に関する研究
Project/Area Number |
09671545
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 逸平 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00251819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 直士 新潟大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70181419)
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (00163329)
佐藤 一範 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70126415)
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Keywords | 脳虚血 / 虚血耐性 / Spreading Depression / NMDA / c-fos / in situ hybridization |
Research Abstract |
1. 虚血耐性を獲得させた神経細胞のNMDAに対する反応性の変化の有無を電気生理学的に検索した。虚血耐性はラット脳表面に直接3MKClを浸した綿栓で化学的に刺激して誘発した。その24時間後Bregmaから4mm尾側の大脳スライス冠状切片標本を作製し、これをWholecellpatchclamp法を用いて電気生理学的に検索した。化学的刺激を加えた側を前処置側、何もしていない側を対象側として頭頂から側頭にかけての大脳皮質第2層の神経細胞に微小ガラス電極を刺入し膜電流を記録した。膜電流の安定後、種々の濃度のNMDA潅流液に対する膜電流の変化および膜電流が観察された細胞に対して外部から電位を変化させ、NMDAの反応によって流れる電流を観察して電流-電圧曲線を得た。その結果、前処置側、対象側共に数μMのNMDA濃度で反応し、電流-電圧曲線にも両群に有意な差は認められなかった。以上の結果より、虚血耐性獲得機序がNMDA受容体のNMDAに対する反応性を変化させることによるものではないことがわかった。 2. 虚血耐性誘発に利用されるCortical Spreading Depression(以下CSD)が、その後の遺伝子発現に与える影響を検索した。ラット脳表面を直接電気刺激してCSDを定量的に誘発し、その1時間後にBregmaから約41mm尾側、厚さ250μmの大脳スライス標本を作製した。これをin situ hybridization法により早期発現性遺伝子の一種であるc-fosの発現を検索した。その結果c-fosの発現量は麻酔薬の種類・麻酔濃度によらず、CSDの回数に依存して発現した。このことからCSDによって虚血耐性を誘発させる場合、少なくとも早期発現性遺伝子まではそのCSDの刺激回数(刺激強度)に応じて発現してくることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 渡辺逸平: "Propofol による全身痙攣発作,喘息様発作,不整脈が疑われた症例" ICUとCCU. 22・9. 681-685 (1998)
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[Publications] 藤原直士: "ニューロン膜脱分極によるアシドーシスの発生機序とその意義" 蘇生. 17・1. 23-30 (1998)
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[Publications] 藤原直士: "膜電位画像による脳虚血後の神経興奮伝搬の解析" Brain Hypoxia. 12・1. 25-29 (1998)
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[Publications] 渡辺逸平: "人工呼吸器Evita 4の使用経験" 人工呼吸. 15・2. 220 (1998)
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[Publications] 藤原直士: "光学的方法による細胞内pH測定" 新大医短紀要. 6・3. 297-302 (1998)
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[Publications] 渡辺逸平: "ACD-CPCRの臨床効果" 蘇生. 18(in press). (1999)
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[Publications] 渡辺逸平: "ベッドサイドの鎮痛・鎮静管理" 真興交易医書出版部, 313 (1998)