1997 Fiscal Year Annual Research Report
上皮・間質間の作用からみたホルモン療法抵抗性前立腺癌の増殖機構に関する研究
Project/Area Number |
09671624
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80230704)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱口 晃一 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30242986)
金 哲将 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10204968)
林田 英資 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20173049)
|
Keywords | 前立腺癌 / 成長因子受容体 / ホルモン療法 |
Research Abstract |
前立腺癌(PC)患者血清中のc-erbB-2癌遺伝子産物を定量した。臨床病気B、C、D1では有意な上昇を認めなかった。一方、40例のD2群では30%、24例の病勢進行群では42%、17例の終末期群では82%の症例が有意な上昇を示した。PCの再燃と血清c-erbB-2濃度との関連が示唆される。 PC組織における線維芽細胞成長因子受容体(FGF-R1,3,4)の発現を免疫組織化学的に検討した。FGF-R1については新鮮PC87例中7例(8%)が陽性であった。このうち、再燃後の組織も染色できた3例はいずれも陽性であった。他の再燃例4例でも、大部分の癌細胞が良く染色されていた。別の新鮮例8例の組織で、FGF-R3とFGF-R4の発現を調べた。前者では、7例において大部分の癌細胞が陽性であったが、非癌組織と同様に核が陽性を示す部分と、それとは異なり細胞質が陽性の部分が混在していた。後者でも7例が陽性であったが、陰性癌細胞も多く存在した。以上から、FGF-R1はアンドロゲン非依存性増殖への関与の可能性が考えられる。他の二者については再燃症例について今後検討する。 血小板由来血管内皮細胞成長因子(PD-ECGF)の発現について、57例の未治療PC組織で免疫組織化学的に検討した。半数以上の癌細胞が陽性であったのは42例(74%)、半数未満の症例が15例(26%)であった。また、マクロファージと思われる免疫反応陽性細胞が間質に散見された。現在、これらの間質中の陽性細胞の意義は不明である。さらに、連続切片を抗第VIII因子関連抗原抗体で染色すると、PD-ECGF高発現群における切片中の血管数は、そうでない群に比べて有意に多かった。この二群間の生存率は、高発現群の方が転帰不良の傾向を示した。この成長因子もPCの進行との関連が考えられる。
|