1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト着床不全例に対する免疫療法開発のためのマウス着床モデルを用いた基礎的研究
Project/Area Number |
09671673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 貴弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (70273448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 道之 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (20027329)
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283614)
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Keywords | 着床障害 / リンパ球 / leukemia inhibitory factor / 体外受精-胚移植法 |
Research Abstract |
近年,不妊治療の発達とくに体外受精-胚移植法の導入によって,着床障害の存在がクローズアップされてきた.中でも内因性または外因性のestrogenやprogesteroneによって適切な子宮内膜分化が誘導されない症例は難治性であり,現在のところ有効な治療法は確立されていない.本研究では,胚存在下での末梢血免疫細胞の機能変化に焦点をあて,主にマウス胚移植モデルを用いて免疫学的側面より子宮内膜の分化および着床誘導機構を解明すること,さらに導き出された制御機構をもとに着床障害患者に応用できる新しい免疫治療法を開発することをその目標とした.着床前の妊娠4日目および着床後の妊娠8日目脾細胞の静脈内投与により偽妊娠2日目マウスでの胚着床が誘導され,またその効果は非妊娠マウスから採取した脾細胞ではほとんど認められなかったことより,妊娠初期末梢血免疫細胞が胚着床促進作用を有すること,およびその作用の獲得に着床前からの胚のシグナルが関与していることが示唆された.さらに脾細胞の胚着床促進効果は子宮内膜間質内への局所投与でも認められ,中でもTリンパ球分画細胞に有意な作用が観察されたことより,静脈内投与された脾細胞のうち特にTリンパ球が直接子宮に至って胚着床を誘導している可能性が考えられた.幼若マウスから分離した胸腺リンパ球の静脈内投与および子宮内膜内投与よっても胚着床が誘導されること,およびその作用はCD4(+)CD8(-)リンパ球に強いことが観察され,ヘルパーT細胞が着床促進作用に深く関与していると考えられた.さらにdelayed implantation系で胸腺リンパ球が胚着床とLIFmRNA発現を誘導することが確認され,非妊娠時のリンパ球でも条件を整えれば着床誘導目的で臨床応用し得ることが示唆された.
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[Publications] Nakayama T: "A new assisted hatching technique using a piezo-micromanipulator." Fertil Steril.(in press.).
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[Publications] Fujita K: "Tymocytes promote embryoimplantation by regulating endometrial differentiation." Hum Reprod.(in press.).
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[Publications] Takabatake K: "Intravenous administration of splenocytes in early pregnancy chanages the implantation window in mice." Hum Reprod.12. 583-585 (1997)
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[Publications] Takabatake K: "Splenocytes in early pregnancy promote embryo implantation by regulating endometrial differentiation in mice." Hum Reprod.12. 2102-2107 (1997)