1997 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期のアルコール被曝による脳特異物質発現障害の神経化学的、学習行動学的研究
Project/Area Number |
09671710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小嶋 久子 北里大学, 医学部, 助教授 (90118810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 正彦 埼玉医科大学, 教授 (30051527)
西島 正博 北里大学, 医学部, 教授 (00050518)
古舘 専一 北里大学, 医学部, 助教授 (80095512)
中村 和生 北里大学, 医学部, 講師 (40189030)
玉井 洋一 北里大学, 医学部, 教授 (80050441)
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Keywords | 胎仔性アルコール症候群 / 学習行動実験 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
妊娠中の母体のアルコール摂取が子に精神運動発達遅延や中枢神経系の異常を引き起こす「胎児生アルコール症候群」の機作の解明を目的とする研究である。昨年度に引き続き、ラットで作製した胎児期アルコール被曝のモデル動物について、神経特異物質関連代謝酵素のmRNA発現と学習実験のまとめを行った。 (1)学習実験は、コンピューター解析と組み合わせたスキナ-箱による明度弁別学習実験である。動物実験にありがちな変動要因を出来るだけ排除しているため、得られるデータの客観性が非常に高い。対照群と、母体のアルコール摂取量の異なる二つの実験群(いずれも生後90日)とで、学習実験を繰り返して統計処理を実施した。その結果、記憶判別度には有意差が認められないことが判明した。しかし、活動度は実験群が有為に高く、いわゆる“落ち着きの無さ"を示した。本実験結果については、平成10年度中に発表の予定である。なお、この実験は正の報酬を与える課題実験であるため、一定の実験期間は食餌量を減少させるので、十分に発育した90日齢のラットを使っているが、発達期にある若いラットで、実験を組めないか検討している。 (2)胎児期アルコール被曝ラットについて、生後経時的に採取した脳からRNAを抽出した。昨年度のミエリン構成蛋白のmRNA発現の検索に引き続き、神経伝達物質合成と代謝酵素のmRNAの発現を調べた。調べた酵素は、アセチルコリンエステラーゼ、コリンアセチル転移酵素、チロシン水酸化酵素、トリプトファン水酸化酵素である。いずれもすでに遺伝子クローニングされているので、文献に従ってオリゴヌクレオチドプローブを作製し、ノーザンブロットを行った。
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[Publications] Kasama-Y,H.,et al.,: "A comparative study of 2',3'-cyclic nucleotide 3'-phosphodiesterase in vertebrates : cDNA cloning and amino acid sequences for chiken and bullfrog enzymes." J.Neurochem.69(4). 1335-1342 (1997)