胎児期のアルコール被曝による脳特異物質発現障害の神経化学的、学習行動学的研究

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671710
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 小嶋 久子 北里大学, 医学部, 助教授 (90118810)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 古舘 専一 北里大学, 医学部, 助教授 (80095512) ; 中村 和生 北里大学, 医学部, 講師 (40189030) ; 玉井 洋一 北里大学, 医学部, 教授 (80050441) ; 野村 正彦 埼玉医科大学, 教授 (30051527) ; 西島 正博 北里大学, 医学部, 教授 (00050518)
• Keywords: 胎児性アルコール症候群 / 病態モデル動物 / 学習行動実験 / ノーザンブロット / ミエリンタンパク質

Research Abstract

妊娠中の母体のアルコール摂取が、「胎児性アルコール症候群」と呼ばれる子供の精神運動発達遅延などの中枢神経系の異常を引き起こす。胎内アルコール被曝によって惹き起こされる神経障害の生化学的な機構を明らかにすることを目的として研究を行った。実施した内容は、胎児期アルコール被曝のモデル動物をラットで作製し、神経伝達物質関連酵素およびミエリンタンパク質のmRNA発現検討と、学習行動的実験である。
(1)アルコール被曝群の2',3'-cyclic nucleotide 3'-phosphohydrolase(CNPase)とミエリン塩基性タンパク質(MBP)は、発育全過程を通じてコントロールより低く、しかもミエリン形成終期に入ると発現量が低下した。ミエリン構成タンパク質の中で最も量の多いプロテオリピドタンパク質(PLP)についてノーザン解析をした結果、アルコール群のPLPはコントロール群のmRNA発現ピークよりも遅れる事、しかし、ピーク時の発現量はコントロール群と殆ど変わらない事が確認された。つまり、ミエリン膜構成の主要タンパクであるPLPと、量的に少ないがミエリン膜重層化に関係があると思われるCNPaseでは、胎内アルコール被曝の影響が異なるという知見が得られた。(2)胎内アルコール被曝の量や投与間隔を変えた動物の明度弁別学習法による学習行動実験を埼玉医大で実施し、有意の結果を得た。99年9月の日本神経化学会で発表した。2000年中にpublish予定である。

Research Products

• [Publications] H.Kojima,et al.: "Effects of prenatal ethanol exposure on myelin proteins and discrimination learning in rat offsprings."Neurochem.Res.. (in press).
• [Publications] M.Taguchi,H.Kojima,et al.: "Biochemical abnormalities in rat brain with intrauterine growth retardation."Neurochem.Res.. (in press).