新生児ECMOに続発する循環不全及び臓器障害の病態に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671828
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 鎌田 振吉 大阪大学, 医学部, 助教授 (40161202)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吾妻 達生 大阪大学, 医学部, 助手 (90263285)
• Keywords: ECMO / L-NMMA / TNアルファー / IL-1アルファー / PAF / IL-6

Research Abstract

体重3〜4kgの雑種幼犬4頭を用い、VA-bypass施行前後の、血中サイトカインの動態につき検討を行った。静脈ライン作成後、気管内挿入による全身麻酔を行った。次いで、総頚動脈よりAラインを挿入し、持続的に動脈圧を測定した。胸骨正中切開を加え、肺動脈に心拍出量測定のため超音波血流計を装着するとともに、左房にカテーテルを挿入した。測定のため動脈より採血後、上行大動脈及び右房に送脱血管を挿入し、VA-bypassを100ml/kg/min.の流量にて開始した。60分行った後、L-NMMA(1mg/kg)を静注し、更に約60分各種パラメターを計測した。動脈血pHは開始後60分で低下傾向を示し、L-NMMA投与後その低下は進行した。Base ExcessもpHと同様の傾向を示した。動脈圧はL-NMMA投与直後に、一過性の最高血圧の上昇がみられた。心拍出量は、VA-bypass開始後60分で漸減傾向を示したが、L-NMMA投与後、その低下は顕著となった。心筋血流量・腎動脈血流量も同様の傾向がみられた。一方、血中のサイトカイン(TNFアルファー、IL-1アルファー、PAF)の変動は軽微で、IL-6のみがVA-bypass開始後60分で漸減傾向を示し、L-NMMA投与後、その低下は顕著となった。
以上よりVA-bypass前後のサイトカインの変動を検討したが、現在の条件では、その変動は少なく、またL-NMMA投与も生体に障害的に働くことが示唆された。次年度では、当初、予定していたエンドトキシン投与による影響や更に高流量でVA-bypassを行った際の影響につき検討の予定である。